生体腎移植術(レシピエント)
腎移植
末期腎不全の患者に、家族などから提供された腎臓を移植する手術。所要時間は3〜5時間程度。ドナー手術と時間を合わせて進行し、摘出から血流再開までの時間(阻血時間)を短くすることが移植腎の機能を左右する。免疫抑制と感染対策が特別に厳格。
ここは要注意
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- 移植腎の汚染・損傷は取り返しがつかない。ドナーの善意そのものであることを全員が意識する。
- 透析患者のシャント肢での血圧測定・点滴は禁忌。徹底する。
- 阻血時間の記録漏れは移植腎の機能評価をできなくする。時刻を正確に残す。
- 免疫抑制下では通常なら問題にならない菌でも重篤な感染になる。清潔操作を妥協しない。
体位・麻酔・皮膚消毒
体位
仰臥位。移植腎は自分の腎臓を残したまま下腹部(腸骨窩)に置く。透析シャント肢を保護し、圧迫しないよう固定する。
麻酔
全身麻酔。透析患者では電解質(特にカリウム)と体液量の管理が重要。中心静脈カテーテルを留置する。
皮膚消毒
剣状突起下〜大腿上部。清潔操作を通常以上に厳格に行う。
必要物品・器械
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基本セット
- 開腹基本セット
- 自動開創器、血管外科基本セット
- マイクロ持針器・血管鑷子
特殊器械
- 血管遮断鉗子(腸骨動静脈用)、ブルドッグ鉗子
- 移植腎を保存・灌流する容器と保存液(バックテーブル用の別セット)
- 尿管膀胱吻合用の器械、尿管ステント
- 術中ドプラ血流計
- 拡大鏡(ルーペ)
ディスポーザブル製品
- 臓器保存液、氷(移植腎の冷却用)
- 血管縫合糸(5-0〜6-0のモノフィラメント)
- 尿管ステント、膀胱留置カテーテル
- 免疫抑制薬の点滴ライン、ヘパリン加生食
器械出し看護師のポイント
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- 移植腎を扱う「バックテーブル」は独立した清潔野。器械と担当を分け、移植腎を絶対に汚染させない。
- 移植腎は冷却したまま扱う。氷と保存液を切らさず、乾燥・加温させない。
- 血流再開(レパフュージョン)までの時間が移植腎の機能を決める。吻合の各工程で経過時間を意識する。
- 血管吻合は極細の糸を使う。針を1本ずつカウントする。
- 尿管膀胱吻合ではステントを留置する。サイズと留置の確認を術者と行う。
- 感染は移植腎の喪失につながる。免疫抑制がかかるため、清潔操作を通常以上に厳格に行う。
外回り看護師のポイント
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- ドナー手術との時間調整が要。摘出時刻、阻血時間、血流再開時刻を正確に記録し、両チームで共有する。
- 免疫抑制薬の投与タイミングは厳密に決まっている。指示された時刻に確実に投与できるよう準備する。
- 透析患者では術前のカリウム値と最終透析日を必ず確認する。高カリウム血症は致死的不整脈を起こす。
- シャント肢での血圧測定・点滴は禁忌。ベッドサイド表示と全員への周知を徹底する。
- 血流再開後は尿が出るかどうかが最大の関心事。尿量を経時的に記録し、術者へ伝える。
- 予測される合併症:急性拒絶反応、血管吻合部の血栓・狭窄、尿漏、リンパ漏、感染。
緊急時の対応
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- 血流再開後に移植腎の色が悪い・尿が出ない:直ちに術者へ報告。血栓を疑い、再吻合の物品とドプラを準備する。
- 高カリウム血症による不整脈:直ちに麻酔科へ報告し、カルシウム・インスリン・グルコース、緊急透析の手配を確認する。
- 血管吻合部からの大量出血:遮断鉗子と血管縫合糸を追加し、輸血を手配する。
- 超急性拒絶反応が疑われたら、移植腎の摘出に至ることがある。術者の判断に備えて物品を整える。
確認先・参考資料6
このページの本文は特定の文献を書き写したものではないため、文ごとの一次出典はありません。下記は記述が正しいかを確かめるための公的資料です。実際の手順は必ず自施設の手順書と指導者の指示を優先してください。
- 手術医療の実践ガイドライン日本手術医学会手術室の運用、清潔操作、手術体位、器械・機器の取り扱い、医療安全
- 指針・ガイドライン(安全な麻酔のためのモニター指針・気道管理ガイドラインなど)日本麻酔科学会麻酔方法、術中モニタリング、気道管理、筋弛緩モニタリング
- 手術看護業務基準ほか学会刊行物日本手術看護学会器械出し・外回りの業務基準、体位固定、器械カウント、申し送り
- 消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン日本外科感染症学会皮膚消毒、予防的抗菌薬の投与と追加、手術部位感染(SSI)の予防
- 褥瘡予防・管理ガイドライン日本褥瘡学会術中の体圧分散・除圧、褥瘡と皮膚障害の予防
- Mindsガイドラインライブラリ日本医療機能評価機構各診療科の診療ガイドラインの横断検索(学会公式版の所在確認)
リンクは2026年8月4日時点で実在を確認したものです。