埋伏智歯抜歯術
親知らず抜歯
骨や歯肉の中に埋まった親知らず(智歯)を、歯肉を切開し骨を削って抜く手術。所要時間は30分〜1時間程度。局所麻酔・日帰りが多いが、全身麻酔で行うこともある。下顎では下歯槽神経の損傷が最大の合併症。
ここは要注意
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- 口腔内ガーゼや歯の破片の気道への落下は致命的。吸引とカウントを徹底する。
- 下歯槽神経の損傷による下唇のしびれは長期に残ることがある。術前説明の状況を確認する。
- 抗凝固薬内服者の抜歯後出血は自宅で起こる。受診の目安を必ず説明する。
- 骨削除時の注水が止まると骨壊死を起こす。注水の状態を確認する。
体位・麻酔・皮膚消毒
体位
仰臥位またはやや上半身を起こした歯科用の体位。開口器を使用するため顎関節への負担に注意する。
麻酔
局所麻酔(伝達麻酔)が基本。静脈内鎮静法や全身麻酔(多数歯・障がいのある方・恐怖の強い方)で行うこともある。
皮膚消毒
口腔内は含嗽と消毒液で清拭。口腔周囲の皮膚を消毒し、顔面をドレープで覆う。
必要物品・器械
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基本セット
- 口腔外科基本セット(メス、粘膜剥離子、ヘーベル、抜歯鉗子、鋭匙、持針器)
特殊器械
- 歯科用エンジン(骨削除・歯の分割用)とバー、注水装置
- 開口器・バイトブロック
- 口腔内用の細い吸引管
- 術中の歯科用X線(必要時)
ディスポーザブル製品
- 吸収糸(粘膜縫合用)
- 止血材(抜歯窩に充填する)
- 洗浄用生食(骨削除時の冷却にも使用)
- 咬合用ガーゼ(術後の圧迫止血用)
器械出し看護師のポイント
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- 口腔内に入れるガーゼは必ず糸をつけ、枚数をカウントする(気道への落下は致命的)。
- 抜いた歯や歯の破片、削った骨片が咽頭へ落ちないよう、吸引を切らさない。
- 歯科用エンジンは注水しながら使う。注水が止まると骨が熱で壊死する。注水の状態を確認する。
- 歯を分割して抜くことが多い。分割した破片をすべて回収したか、術者と確認する。
- 術野が狭く暗い。細い器械と吸引を選び、術者の視野を遮らない。
- 下顎では下歯槽神経が歯根のすぐ近くにある。術者が慎重になる場面を理解しておく。
外回り看護師のポイント
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- 局所麻酔では患者が覚醒している。開口し続ける苦痛と、削る音・振動への恐怖に配慮して声をかける。
- 静脈内鎮静を行う場合は、呼吸抑制と気道閉塞に注意し、SpO2を継続監視する。
- 抗凝固薬・抗血小板薬の内服状況を確認する。抜歯後出血のリスクに直結する。
- 術後は咬合ガーゼで圧迫止血する。時間と方法、出血が続く場合の対応を説明できるよう把握する。
- 術後の腫脹・開口障害・しびれについて、患者が事前に理解しているか確認する。
- 予測される合併症:下歯槽神経・舌神経の麻痺(下唇や舌のしびれ)、術後出血、感染(ドライソケット)、上顎洞との交通。
緊急時の対応
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- 歯・破片の咽頭への落下:直ちに吸引し、術者へ報告。誤嚥・誤飲が疑われたらX線での確認を手配する。
- 術後の大量出血:咬合ガーゼによる圧迫、止血材、縫合の追加を準備する。抗凝固薬の内服状況を共有する。
- 局所麻酔薬中毒・血管迷走神経反射(気分不良・徐脈・冷汗):処置を中断し、仰臥位・下肢挙上と輸液を準備する。
- 静脈内鎮静下の呼吸抑制:直ちに酸素投与と気道確保、拮抗薬の準備を行う。
確認先・参考資料6
このページの本文は特定の文献を書き写したものではないため、文ごとの一次出典はありません。下記は記述が正しいかを確かめるための公的資料です。実際の手順は必ず自施設の手順書と指導者の指示を優先してください。
- 手術医療の実践ガイドライン日本手術医学会手術室の運用、清潔操作、手術体位、器械・機器の取り扱い、医療安全
- 指針・ガイドライン(安全な麻酔のためのモニター指針・気道管理ガイドラインなど)日本麻酔科学会麻酔方法、術中モニタリング、気道管理、筋弛緩モニタリング
- 手術看護業務基準ほか学会刊行物日本手術看護学会器械出し・外回りの業務基準、体位固定、器械カウント、申し送り
- 消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン日本外科感染症学会皮膚消毒、予防的抗菌薬の投与と追加、手術部位感染(SSI)の予防
- 褥瘡予防・管理ガイドライン日本褥瘡学会術中の体圧分散・除圧、褥瘡と皮膚障害の予防
- Mindsガイドラインライブラリ日本医療機能評価機構各診療科の診療ガイドラインの横断検索(学会公式版の所在確認)
リンクは2026年8月4日時点で実在を確認したものです。