顎骨嚢胞摘出術
顎骨嚢胞
顎の骨の中にできた嚢胞(袋状の病変)を、歯肉を切開して骨を削り取り除く手術。所要時間は1〜2時間程度。局所麻酔または全身麻酔で行い、下顎では下歯槽神経、上顎では上顎洞との位置関係が問題になる。
ここは要注意
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- 口腔内ガーゼの気道への落下は致命的。糸付き・全数カウントを徹底する。
- 嚢胞壁は病理提出が必須。「良性の袋」と決めつけて廃棄しない。
- 大きな嚢胞では術後に顎骨骨折が起こりうる。安静度と食事の指示を確実に申し送る。
- 抗凝固薬内服者の術後出血は自宅で起こる。受診の目安を必ず説明する。
体位・麻酔・皮膚消毒
体位
仰臥位またはやや上半身を起こした歯科用の体位。開口器を使用するため顎関節への負担に注意する。
麻酔
局所麻酔(伝達麻酔)または全身麻酔(経鼻挿管)。嚢胞が大きい場合は全身麻酔になる。
皮膚消毒
口腔内は含嗽と消毒液で清拭。口腔周囲の皮膚を消毒し、顔面をドレープで覆う。
必要物品・器械
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基本セット
- 口腔外科基本セット(メス、粘膜剥離子、鋭匙、骨ノミ、持針器)
特殊器械
- 歯科用エンジン(骨削除用)とバー、注水装置
- 開口器・バイトブロック、口腔内用の細い吸引管
- 嚢胞壁を剥離するための細いキュレット
- 骨欠損部を埋める人工骨(使用する場合)
ディスポーザブル製品
- 吸収糸(粘膜縫合用)
- 検体容器(嚢胞壁は病理に提出。腫瘍性の可能性を評価する)
- 止血材、人工骨
- 洗浄用生食(骨削除時の冷却にも使用)
器械出し看護師のポイント
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- 口腔内に入れるガーゼは必ず糸をつけ、枚数をカウントする(気道への落下は致命的)。
- 嚢胞壁を破らずに一塊で摘出できると再発が少ない。術者が慎重に剥離する場面を静かに支える。
- 嚢胞壁は必ず病理に提出する。腫瘍性のこともあるため、取りこぼさず容器へ移す。
- 下顎では下歯槽神経が嚢胞のすぐ近くを走る。術者が神経を確認する場面では静かに待つ。
- 歯科用エンジンは注水しながら使う。注水が止まると骨が熱で壊死する。
- 上顎洞と交通した場合の閉鎖用の材料を、術者に確認して準備しておく。
外回り看護師のポイント
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- 局所麻酔では患者が覚醒している。開口し続ける苦痛と削る音への恐怖に配慮して声をかける。
- 抗凝固薬・抗血小板薬の内服状況を確認する。術後出血のリスクに直結する。
- 全身麻酔・経鼻挿管の場合は、術野が口腔内であるためチューブの固定と保護を確認する。
- 嚢胞が大きい場合は骨が薄くなっており、術後に顎骨骨折を起こすことがある。安静度の指示を申し送る。
- 術後の腫脹・開口障害・しびれについて、患者が事前に理解しているか確認する。
- 予測される合併症:下歯槽神経麻痺、術後出血、感染、上顎洞との交通、病的骨折、再発。
緊急時の対応
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- ガーゼや骨片の咽頭への落下:直ちに吸引し、術者へ報告。誤嚥・誤飲が疑われたらX線での確認を手配する。
- 術後の大量出血:圧迫、止血材、縫合の追加を準備し、抗凝固薬の内服状況を共有する。
- 局所麻酔薬中毒・血管迷走神経反射:処置を中断し、仰臥位・下肢挙上と輸液、脂肪乳剤を準備する。
- 術中の顎骨骨折が起きたら、プレート固定への術式変更に備えて物品を手配する。
確認先・参考資料6
このページの本文は特定の文献を書き写したものではないため、文ごとの一次出典はありません。下記は記述が正しいかを確かめるための公的資料です。実際の手順は必ず自施設の手順書と指導者の指示を優先してください。
- 手術医療の実践ガイドライン日本手術医学会手術室の運用、清潔操作、手術体位、器械・機器の取り扱い、医療安全
- 指針・ガイドライン(安全な麻酔のためのモニター指針・気道管理ガイドラインなど)日本麻酔科学会麻酔方法、術中モニタリング、気道管理、筋弛緩モニタリング
- 手術看護業務基準ほか学会刊行物日本手術看護学会器械出し・外回りの業務基準、体位固定、器械カウント、申し送り
- 消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン日本外科感染症学会皮膚消毒、予防的抗菌薬の投与と追加、手術部位感染(SSI)の予防
- 褥瘡予防・管理ガイドライン日本褥瘡学会術中の体圧分散・除圧、褥瘡と皮膚障害の予防
- Mindsガイドラインライブラリ日本医療機能評価機構各診療科の診療ガイドラインの横断検索(学会公式版の所在確認)
リンクは2026年8月4日時点で実在を確認したものです。