乳房切除術
Mt
乳癌に対して乳房全体を切除する手術。腋窩リンパ節郭清を併施することがある。所要時間は2〜3時間程度。切除範囲が広く、術後のドレーン管理とボディイメージの変化への配慮が必要になる。
ここは要注意
4
- 患側上肢での血圧測定・採血はリンパ浮腫を誘発する。術後の禁止事項として確実に申し送る。
- 皮弁を薄く剥離するため、術後に皮膚が壊死することがある。皮膚の色を観察して記録する。
- 検体の左右・部位の確認を絶対に省略しない。
- 術後のボディイメージへの配慮は看護の中心。術野の会話にも配慮する。
体位・麻酔・皮膚消毒
体位
仰臥位+患側上肢の外転(90度以内)。患側の背部に枕を入れて術野を作る。
麻酔
全身麻酔(気管挿管)。神経ブロックを併用することもある。
皮膚消毒
患側の頸部〜臍レベル、正中を越えて対側まで、腋窩と上腕を含めて広く消毒する。
必要物品・器械
11
基本セット
- 乳腺手術セット
- 自動開創器、長めの剥離剪刀、コッヘル・ペアン多数
- 持針器・鑷子
特殊器械
- 電気メス(切開と剥離の大部分に使用)、バイポーラ
- ガンマプローブ(センチネルリンパ節生検を併施する場合)
- 腋窩郭清用の細い剥離器械(神経・血管温存のため)
- 皮弁の厚さを見るための照明・ヘッドライト
ディスポーザブル製品
- ドレーン(腋窩・胸壁に留置。持続吸引式)
- 検体容器(乳房標本、リンパ節)
- 止血材、皮下縫合糸
- 術後の乳房パッド・固定用の胸帯
器械出し看護師のポイント
6
- 剥離範囲が広く、電気メスを長時間使う。先端の焦げ付きを拭き取り、切れ味を保つ。
- 腋窩郭清では胸背神経・長胸神経を温存する。術者が神経を探す場面では静かに待ち、細い器械を渡す。
- 摘出標本は大きい。落下や汚染を避け、方向を確認して容器に移す。
- ガーゼの使用枚数が多くなる。こまめにカウントし、術野に置きっぱなしにしない。
- ドレーンの本数と留置部位を術者と確認し、固定用の糸を準備する。
- 閉創前の止血確認を丁寧に行う。術後血腫はドレーン管理を難しくする。
外回り看護師のポイント
7
- 出血量とガーゼ枚数の管理。剥離面が広いため、じわじわとした出血が積み重なる。
- 上肢の過外転を避ける。腕神経叢損傷は術後のリハビリに影響する。
- ドレーンの本数・留置部位・持続吸引の設定を病棟へ正確に申し送る。
- 患側上肢の採血・血圧測定・点滴を避けるルールを、術後の申し送りとベッドサイド表示で共有する。
- ボディイメージの変化に対する精神的ケアが重要。術後の説明の場や、家族への配慮を申し送る。
- 体温管理:露出面が広く手術時間も長い。加温装置を使用する。
- 予測される合併症:出血・血腫、リンパ漏(腋窩郭清時)、上肢のリンパ浮腫、皮弁壊死、創感染。
緊急時の対応
4
- 術中の大量出血:吸引と止血材を追加し、電気メス・バイポーラの出力設定を確認して術者を支える。
- 腋窩の大血管(腋窩静脈)損傷は重篤。直ちに応援と血管外科へのコンサルト、輸血を手配する。
- 術後血腫による皮弁の緊満:直ちに報告し、創開放・止血のための再手術の準備をする。
- 急変時も患者のプライバシーと尊厳への配慮を忘れない。不要な露出を避ける。
確認先・参考資料6
このページの本文は特定の文献を書き写したものではないため、文ごとの一次出典はありません。下記は記述が正しいかを確かめるための公的資料です。実際の手順は必ず自施設の手順書と指導者の指示を優先してください。
- 手術医療の実践ガイドライン日本手術医学会手術室の運用、清潔操作、手術体位、器械・機器の取り扱い、医療安全
- 指針・ガイドライン(安全な麻酔のためのモニター指針・気道管理ガイドラインなど)日本麻酔科学会麻酔方法、術中モニタリング、気道管理、筋弛緩モニタリング
- 手術看護業務基準ほか学会刊行物日本手術看護学会器械出し・外回りの業務基準、体位固定、器械カウント、申し送り
- 消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン日本外科感染症学会皮膚消毒、予防的抗菌薬の投与と追加、手術部位感染(SSI)の予防
- 褥瘡予防・管理ガイドライン日本褥瘡学会術中の体圧分散・除圧、褥瘡と皮膚障害の予防
- Mindsガイドラインライブラリ日本医療機能評価機構各診療科の診療ガイドラインの横断検索(学会公式版の所在確認)
リンクは2026年8月4日時点で実在を確認したものです。