術式一覧へもどる

乳腺外科再建

TE挿入

乳房再建術(組織拡張器挿入)

乳房切除と同時、または後日に、大胸筋下などに組織拡張器(ティッシュエキスパンダー)を入れ、少しずつ膨らませて皮膚を伸ばす手術。所要時間は1〜2時間程度。人工物を入れるため感染対策が最重要で、術後のMRI制限にも注意が必要。

ここは要注意!

  • 人工物の感染は抜去につながる。清潔操作の妥協は許されない。
  • MRI制限のある製品がある。記録漏れは患者の今後の検査に影響する。
  • ロット番号の記録漏れは追跡不能になる。開封時にラベルを渡す流れを固定する。
  • 上半身を起こす操作は転落・チューブ抜去のリスクがある。必ず声かけと確認をする。

体位・麻酔・皮膚消毒

体位

仰臥位+患側上肢の外転(90度以内)。左右差を確認するため、術中に上半身を起こす(座位に近い体位にする)ことがある。ベッドの操作前に固定とラインを確認する。

麻酔

全身麻酔(気管挿管)。

皮膚消毒

両側の乳房を含む前胸部〜上腕。左右差を見るため対側も術野に含めることが多い。

必要物品・器械

基本セット

  • 形成外科・乳腺手術セット
  • 自動開創器、剥離剪刀、持針器、鑷子

特殊器械

  • 組織拡張器(サイズ・形状を術者と確認)
  • 生食注入用のシリンジと注入針、拡張器の位置を探す磁石(マグネットファインダー)
  • 電気メス、バイポーラ
  • 光源付きの開創器(深い剥離腔を照らす)

ディスポーザブル製品

  • 組織拡張器(ロット記録が必須)
  • 抗菌薬入りの洗浄用生食
  • ドレーン(漿液腫予防のため留置する)
  • 縫合糸各種、術後の固定用バンド

器械出し看護師のポイント

  1. 人工物を体内に入れる手術。感染すると拡張器を抜去することになるため、清潔操作を極端に厳格に行う。

  2. 拡張器は素手で触らない。器械で扱い、術野に置きっぱなしにしない。

  3. 拡張器のサイズと形状は確定してから開封する。開封したら戻せない。

  4. 生食の注入量を術者と確認し、記録に残す(術後の追加注入の基準になる)。

  5. 剥離腔(ポケット)の作成が仕上がりを決める。止血を確実にする器械を切らさない。

  6. 拡張器のロット番号シールは開封時に外回りへ渡す。

外回り看護師のポイント

  1. 組織拡張器には金属製の注入ポートが入っているものがあり、MRI検査が制限される。製品の情報を確実に記録し、患者へ説明されるようにする。

  2. 拡張器の製品名・サイズ・ロット番号・注入量を記録する(長期のトレーサビリティが必要)。

  3. 術中に上半身を起こす場合は、ベッド操作の前に固定・気管チューブ・点滴ラインを全員で確認する。

  4. 感染対策が最優先。入退室を最小限にし、術野の露出時間を短くする。

  5. 術後は外来で定期的に生食を追加注入する。スケジュールと注意点を患者が理解しているか確認する。

  6. 予測される合併症:感染、被膜拘縮、皮膚壊死、拡張器の露出・破損、漿液腫。

緊急時の対応

  1. 術中に拡張器を落とした・破損した場合は使用できない。直ちに報告し、予備の在庫を確認する。

  2. 皮弁の血流不良(蒼白・うっ血)が判明したら、拡張器の注入量を減らす、または挿入を見送る判断に備える。

  3. 出血・血腫では創部の緊満が起こる。再開創と止血の準備をする。

  4. 感染徴候(発赤・膿性排液)を疑う所見は術後に出る。観察ポイントを申し送る。

乳腺外科の他の術式

今日もおつかれさま。ひとつ覚えたら、明日はもう少しラクになります。