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眼科前眼部

PEA + IOL

白内障手術(超音波乳化吸引術+眼内レンズ挿入)

濁った水晶体を超音波で砕いて吸い出し、眼内レンズ(IOL)を挿入する手術。所要時間は10〜20分程度と短く、1日に何件も連続で行われる。局所麻酔で患者は覚醒しており、器械の受け渡しの静かさと、レンズの取り違え防止が最重要。

ここは要注意!

  • 左右の取り違え・レンズ度数の取り違えは取り返しがつかない。確認手順を1つも飛ばさない。
  • 患者は起きている。他の患者の話や次の症例の話を術野でしない。
  • 術中の突然の体動は眼球損傷につながる。咳やくしゃみの前触れを患者から聞き出す。
  • 連続手術では「前の症例の流れ」で動きがち。1件ごとにリセットする。

体位・麻酔・皮膚消毒

体位

仰臥位。頭部を安定させ、顔が水平になるように調整する。腰痛や呼吸苦のある患者は仰臥位を保てないことがあるため、事前に確認する。

麻酔

点眼麻酔+テノン嚢下麻酔などの局所麻酔が基本。患者は覚醒しており、声も物音もすべて聞こえている。

皮膚消毒

眼周囲の皮膚をポビドンヨードで消毒し、結膜嚢内も希釈ポビドンヨードで洗浄する。睫毛をドレープで巻き込む。

必要物品・器械

基本セット

  • 白内障手術セット(極小の眼科用器械)
  • 有鉤鑷子、剪刀、持針器(すべて顕微鏡下用の極小サイズ)

特殊器械

  • 手術用顕微鏡(眼科用)
  • 超音波乳化吸引装置(フェイコ)とハンドピース、灌流吸引(I/A)ハンドピース
  • 眼内レンズ(IOL)とインジェクター
  • 前嚢切開用の鑷子(CCC鑷子)、チョッパー

ディスポーザブル製品

  • 眼内レンズ(度数を患者ごとに確認。取り違えは重大事故)
  • 粘弾性物質(ヒアルロン酸ナトリウムなど)
  • 灌流液(BSS)、散瞳薬・縮瞳薬
  • 眼科用ドレープ、極細の縫合糸(必要時)
  • 術後の眼帯・保護眼鏡

器械出し看護師のポイント

  1. 眼内レンズの度数は患者ごとに違う。開封前に患者氏名・眼(右/左)・度数を術者と必ず読み合わせる。

  2. 眼科の器械は極めて小さく先端が繊細。先端同士を接触させず、専用のラックで管理する。

  3. 手術時間が短く、器械の受け渡しテンポが速い。工程を暗記して先読みするのが最も効く。

  4. 粘弾性物質はシリンジのエア抜きをしてから渡す。気泡が入ると視野を妨げる。

  5. 患者は起きている。器械のぶつかる音や会話が不安を強めるため、静かに動作する。

  6. 術野は数ミリの世界。器械を落とすと手術が止まる。予備の有無を把握しておく。

外回り看護師のポイント

  1. 左右の眼の取り違えは絶対に起こしてはならない。カルテ、同意書、マーキング、患者本人への確認をすべて照合する。

  2. 眼内レンズの度数確認は外回りと器械出しのダブルチェック。開封前に必ず声に出して読み合わせる。

  3. 患者は覚醒している。処置の前に声をかけ、「動かないでください」の意味を分かるよう説明する。

  4. 顔にドレープがかかるため閉塞感が強い。酸素を流す、声をかけるなどの配慮をする。

  5. 1日に何件も連続することが多い。患者ごとの器械・レンズ・記録が混ざらないよう、区切りを明確にする。

  6. 認知症や難聴、腰痛のある患者では体動のリスクがある。事前に把握し、対応を決めておく。

  7. 予測される合併症:後嚢破損、駆逐性出血(まれだが重篤)、眼内炎、眼圧上昇。

緊急時の対応

  1. 後嚢破損:直ちに硝子体カッターと追加の粘弾性物質、別タイプの眼内レンズを準備する。硝子体術者への応援も想定する。

  2. 駆逐性出血(眼圧の急上昇、術野の膨隆):極めて緊急。直ちに創を閉じる物品を渡し、応援を呼ぶ。

  3. 患者の急な体動・不穏:まず頭部を保持し、術者へ声をかけて器械を眼から離してもらう。

  4. 局所麻酔でも迷走神経反射(徐脈・血圧低下)は起こる。バイタルの変化に気づいたら即報告する。

眼科の他の術式

今日もおつかれさま。ひとつ覚えたら、明日はもう少しラクになります。