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呼吸器外科

VATS 肺葉切除

胸腔鏡下肺葉切除術

肺癌などに対して、胸腔鏡を使って肺葉とリンパ節を切除する手術。所要時間は3〜4時間程度。分離肺換気(片肺換気)で術側の肺を虚脱させて行うのが最大の特徴で、麻酔科との連携が欠かせない。

ここは要注意!

  • ステープラーカートリッジの取り違えは肺動脈損傷につながる。色と高さの確認を絶対に飛ばさない。
  • リンパ節の部位ラベルを間違えると病期診断が誤り、治療方針が変わる。
  • 側臥位+長時間で下側の腕神経叢と腓骨神経を痛めやすい。固定後の確認を丁寧に。
  • 片肺換気中のSpO2低下は「よくあること」で流さず、麻酔科と数値を共有する。

体位・麻酔・皮膚消毒

体位

側臥位(患側が上)。腋窩枕(下側の腕神経叢の圧迫予防)、下側下肢の腓骨頭の除圧、上側上肢の支持を確実に。ベッドを屈曲させて肋間を開くことがある。

麻酔

全身麻酔+分離肺換気(ダブルルーメンチューブまたは気管支ブロッカー)。体位変換でチューブの位置がずれるため、変換後に必ず位置確認が入る。

皮膚消毒

患側の頸部下〜腸骨稜、前後は正中を越えて広く消毒する。開胸移行に備えて広範囲に。

必要物品・器械

基本セット

  • 開胸基本セット(開胸移行に備えて待機)
  • 肋間開創器、長鑷子、長剪刀、持針器

特殊器械

  • 胸腔鏡・カメラヘッド・光源ケーブル(30度斜視鏡)
  • 自動縫合器(血管用・気管支用・肺実質用)+多数のカートリッジ
  • ベッセルシーリングシステム、エネルギーデバイス
  • 肺把持鉗子(リング鉗子など肺を傷めないもの)
  • リンパ節郭清用の長い鑷子・剥離鉗子

ディスポーザブル製品

  • ステープラーカートリッジ(血管用・気管支用でサイズが違う。多数用意)
  • 標本回収バッグ、創縁保護器
  • 胸腔ドレーン(太めのもの)と持続吸引システム
  • 肺瘻・気管支断端の補強材、フィブリン糊
  • 洗浄用温生食(エアリークテスト用)

器械出し看護師のポイント

  1. ステープラーのカートリッジは「血管用」「気管支用」「肺実質用」で高さが違う。取り違えは血管損傷や断端不全に直結するため必ず声出し確認する。

  2. 肺は非常に脆い臓器。把持鉗子は鈍的なものを選び、鋭利な器械で挟まない。

  3. 血管処理は肺動脈が薄く破れやすい。出血時に備え、吸引・ガーゼ・血管クランプを常に手元へ。

  4. リンパ節は郭清した部位ごとに分けて提出する。番号や部位のラベリングを術者と確認する。

  5. 閉胸前のエアリークテスト(生食を入れて肺を膨らませ気泡を見る)では、温生食を素早く大量に供給する。

  6. 胸腔ドレーンの留置と接続は最後の重要工程。ドレーンと持続吸引システムを準備しておく。

  7. 開胸移行の可能性がある。開胸セットと肋間開創器の場所を把握しておく。

外回り看護師のポイント

  1. 分離肺換気は呼吸器外科の要。体位変換後にチューブ位置がずれることがあるため、麻酔科の確認作業を妨げない。

  2. 側臥位の固定:腋窩枕の位置、下側下肢の腓骨頭の除圧、上側上肢の支持台の角度を必ず確認する。

  3. 片肺換気中はSpO2が下がりやすい。低酸素の傾向を麻酔科と共有し、必要なら術者へ伝える。

  4. リンパ節検体は部位ごとに分ける。番号を間違えると病期診断が変わってしまう。二人で確認する。

  5. 体温管理:胸腔を開けるため体温が下がりやすい。加温装置と輸液加温を使用する。

  6. 胸腔ドレーンの管理:接続、吸引圧、エアリークの有無を確認して病棟へ申し送る。

  7. 予測される合併症:出血、肺瘻(エアリーク遷延)、気管支断端瘻、不整脈、術後肺炎。

緊急時の対応

  1. 肺動脈損傷による大量出血:直ちに開胸移行の準備。肋間開創器と開胸セットを開け、吸引を追加し、輸血を手配する。

  2. 開胸移行の判断が出たら、器械台の再構成と照明の調整を素早く行う。

  3. 片肺換気中の高度な低酸素では、術者に一時的な換気再開を依頼する場面がある。麻酔科と術者の連携を支える。

  4. 術後の緊張性気胸を疑う所見(血圧低下、皮下気腫、呼吸困難)は緊急。ドレーンの開放と胸腔穿刺の準備をする。

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今日もおつかれさま。ひとつ覚えたら、明日はもう少しラクになります。