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小児外科鼠径部・体表

小児ヘルニア

小児鼠径ヘルニア根治術

子どもの鼠径ヘルニア(脱腸)に対して、開いたままの腹膜の袋(腹膜鞘状突起)を閉じる手術。腹腔鏡下(LPEC法)または鼠径部切開で行う。所要時間は30分〜1時間程度。小児外科で最も多い手術のひとつ。

ここは要注意!

  • 小児は低体温になるのが早い。「短時間の手術だから」と保温を省略しない。
  • 薬剤の投与量は体重依存。成人の感覚で判断せず、必ず計算値を確認する。
  • 精管・卵管の損傷は将来の妊孕性に関わる。慎重な操作を支える。
  • 気腹圧の設定を成人のままにしない。小児用の設定を必ず確認する。

体位・麻酔・皮膚消毒

体位

仰臥位。小児は体が小さく体温が下がりやすいため、加温マットの上に寝かせ、露出を最小限にする。頭低位にすることがある。

麻酔

全身麻酔(+仙骨硬膜外麻酔や局所麻酔の併用)。小児は体重あたりの薬用量が厳密に決まる。

皮膚消毒

臍〜大腿上部、陰部を含む。皮膚が薄いため消毒液による刺激に注意する。

必要物品・器械

基本セット

  • 小児用の小手術セット(成人用より小さい器械一式)
  • 小さな鉤、モスキート、細い持針器

特殊器械

  • LPEC法では小児用の細い腹腔鏡(3〜5mm)とLPEC針
  • 気腹装置(小児用の低圧設定を確認)
  • 小児用トロッカー
  • 拡大鏡(ルーペ)

ディスポーザブル製品

  • 細い吸収糸(腹膜の結紮用)
  • 小児用の皮膚接合材(テープや接着剤。抜糸を避ける)
  • 加温用の器材(加温マット、温風式加温装置の小児用ブランケット)
  • 局所麻酔薬(体重に応じた量を確認)

器械出し看護師のポイント

  1. 器械はすべて小児用の小さいもの。成人用を混ぜない。

  2. 精管・精巣血管(男児)や卵管(女児)が非常に細く、腹膜の袋と見分けにくい。術者が慎重になる場面を理解する。

  3. LPEC法では細い針で腹膜を糸で結紮する。糸を絡ませず、正確に渡す。

  4. 気腹圧は小児用の低い設定にする。設定値を術者・外回りと確認する。

  5. 両側を同時に行うことがある。左右の記録を分ける。

  6. 小さな器械・針は紛失しやすい。カウントを確実に行う。

外回り看護師のポイント

  1. 小児は体表面積あたりの熱喪失が大きく、あっという間に低体温になる。入室前から室温を上げ、加温マットを準備する。

  2. 体重を正確に把握する。薬剤量、輸液量、除細動の設定すべてが体重で決まる。

  3. 入室時の不安が強い。プレパレーション(人形やイラストでの説明)、保護者の付き添い、好きなおもちゃの持ち込みなど施設の方針を確認する。

  4. 小児は輸液量の管理がシビア。指示された速度を厳密に守り、過剰投与を避ける。

  5. 術後は保護者と早く会えるようにすることが最良の看護になる。回復室での対応を確認する。

  6. 予測される合併症:再発、精巣の萎縮(男児)、対側の発症、創部の感染。

緊急時の対応

  1. 小児の急変は進行が速い。体重に応じた薬剤量と小児用の蘇生物品(マスク、チューブ、除細動パッド)を室内に用意しておく。

  2. 喉頭痙攣(小児の麻酔で起こりやすい):直ちに酸素と吸引を渡し、麻酔科の指示に即応する。

  3. 低体温の進行:加温を最大にし、輸液加温を追加する。

  4. 腸管や膀胱の損傷が疑われたら、修復物品と小児外科医の応援を手配する。

小児外科の他の術式

今日もおつかれさま。ひとつ覚えたら、明日はもう少しラクになります。