腹部大動脈瘤 人工血管置換術
AAA 人工血管置換
腹部大動脈にできた瘤を切除し、人工血管に置き換える手術。開腹して大動脈を一時的に遮断するため、遮断・解除の瞬間に大きな循環変動が起きる。所要時間は3〜5時間程度。出血への備えが最重要。
ここは要注意
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- 輸血の準備不足は致命的。「たぶん足りる」で始めない。
- 遮断時間の記録を忘れると臓器障害のリスク評価ができない。遮断した瞬間に時刻を記録する。
- 解除の瞬間の血圧低下は必発。心の準備ではなく、薬剤の物理的な準備をしておく。
- 術後の下肢の色・温度・拍動の確認を申し送りに必ず含める。
体位・麻酔・皮膚消毒
体位
仰臥位。腎動脈より上で遮断する場合は体位を工夫することもある。長時間手術のため除圧を徹底する。
麻酔
全身麻酔+硬膜外麻酔の併用が多い。動脈ライン、中心静脈カテーテル、大量輸液・輸血に備えた太いルートを確保する。
皮膚消毒
乳頭ライン〜大腿(鼠径部を含む)。大腿動脈へのアプローチに備えて広く消毒する。
必要物品・器械
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基本セット
- 開腹基本セット
- 大型の自動開創器
- 血管外科基本セット
特殊器械
- 大動脈遮断鉗子(各種サイズ・角度)
- 血管用マイクロ器械、ブルドッグ鉗子
- 人工血管(ストレート型・Y字型、サイズを術者と確認)
- 自己血回収装置(セルセーバー)
- 血管縫合用の持針器と血管鑷子
ディスポーザブル製品
- 人工血管(サイズ違いを在庫確認)
- 血管縫合糸(3-0〜5-0のモノフィラメント、パッド付き)
- ヘパリン加生食、フォガティカテーテル(血栓除去用)
- 止血材、フィブリン糊、局所止血パッド
- ドレーン、大量の輸液・輸血ライン、加圧バッグ
器械出し看護師のポイント
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- 大動脈遮断の瞬間が最大の山場。遮断鉗子を複数サイズ用意し、術者が求めたら即座に渡せるようにする。
- 遮断時間は臓器虚血に直結する。遮断開始時刻を記録し、経過時間を定期的に声で伝える。
- 人工血管はサイズが確定してから開封する。開封したら戻せない。
- 血管縫合糸はパッド付き・両端針など種類が多い。術者の好みを事前に確認し、揃えておく。
- 遮断解除の直前は出血に備えて吸引・ガーゼ・止血材を最大限に準備する。
- フォガティカテーテル(血栓除去)はサイズが複数ある。すぐ出せるよう並べておく。
- セルセーバーで回収した血液は返血に使う。回収ラインの取り扱いを臨床工学技士と確認する。
外回り看護師のポイント
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- 輸血の準備が最優先。血液型、クロスマッチ、在庫、緊急払い出しの経路を入室前に必ず確認する。
- 大動脈遮断・解除の瞬間は血圧が激変する。タイミングを術者から聞き、麻酔科と共有する。
- 遮断解除後は虚血していた下肢から代謝物が戻り、血圧低下・アシドーシス・高カリウム血症が起きる。薬剤の準備をしておく。
- 出血量の把握が難しい。吸引ボトル、セルセーバー回収量、ガーゼ重量を分けて記録し、麻酔科と数字で共有する。
- 体温低下:大量輸液・輸血と開腹で急速に体温が下がる。輸液加温装置と加温マットを最大限使用する。
- 下肢の血流(足背動脈の触知や色)を術後に確認する。血栓による下肢虚血のサインを見逃さない。
- 予測される合併症:出血、腎不全(腎動脈上遮断時)、下肢虚血、脊髄虚血による対麻痺、腸管虚血。
緊急時の対応
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- 動脈瘤破裂・大量出血:最優先で応援と輸血を集める。遮断鉗子、吸引、ガーゼを一気に増やす。
- 遮断解除後の血圧低下・不整脈:麻酔科の指示に即応できるよう、昇圧薬・カルシウム・重炭酸を準備する。
- 下肢虚血が疑われたらフォガティカテーテルによる血栓除去の準備をする。
- 腎機能悪化に備え、尿量の推移を継続的に報告する。無尿は緊急のサイン。
確認先・参考資料6
このページの本文は特定の文献を書き写したものではないため、文ごとの一次出典はありません。下記は記述が正しいかを確かめるための公的資料です。実際の手順は必ず自施設の手順書と指導者の指示を優先してください。
- 手術医療の実践ガイドライン日本手術医学会手術室の運用、清潔操作、手術体位、器械・機器の取り扱い、医療安全
- 指針・ガイドライン(安全な麻酔のためのモニター指針・気道管理ガイドラインなど)日本麻酔科学会麻酔方法、術中モニタリング、気道管理、筋弛緩モニタリング
- 手術看護業務基準ほか学会刊行物日本手術看護学会器械出し・外回りの業務基準、体位固定、器械カウント、申し送り
- 消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン日本外科感染症学会皮膚消毒、予防的抗菌薬の投与と追加、手術部位感染(SSI)の予防
- 褥瘡予防・管理ガイドライン日本褥瘡学会術中の体圧分散・除圧、褥瘡と皮膚障害の予防
- Mindsガイドラインライブラリ日本医療機能評価機構各診療科の診療ガイドラインの横断検索(学会公式版の所在確認)
リンクは2026年8月4日時点で実在を確認したものです。