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脳神経外科脳血管

クリッピング

開頭脳動脈瘤クリッピング術

脳動脈瘤(くも膜下出血の原因)に対して、頭蓋骨を開けて顕微鏡下に動脈瘤の根元をクリップで挟んで血流を遮断する手術。破裂例は緊急手術になる。顕微鏡操作と極細の器械、そして「静かな手術室」が求められる。

ここは要注意!

  • 術中破裂は一瞬で起こる。「静かに進んでいるから大丈夫」ではなく、常に大量出血に備えておく。
  • コットノイドの遺残は重大事故。使用枚数と回収枚数を必ず一致させる。
  • 3点ピン固定時の血圧上昇は破裂の誘因になる。麻酔科への声かけを絶対に飛ばさない。
  • マイクロ器械を落とすと術式が止まる。予備の有無を術前に確認しておく。

体位・麻酔・皮膚消毒

体位

仰臥位+頭部を3点ピン固定(メイフィールド)。頭部を回旋・伸展させるため、頸部の過度な回旋と気管チューブの屈曲に注意する。

麻酔

全身麻酔(気管挿管)。脳圧管理のため過換気、浸透圧利尿薬(マンニトールなど)を使う。破裂例では血圧管理が極めて重要。

皮膚消毒

剃毛範囲を含む頭部。切開線の周囲を広く消毒し、耳や眼に消毒液が入らないよう保護する。

必要物品・器械

基本セット

  • 開頭基本セット
  • 骨膜剥離子、ラスパトリウム、自動開創器
  • メス・剪刀・持針器

特殊器械

  • 手術用顕微鏡(バランス調整と滅菌ドレープ)
  • 開頭用ドリル(クラニオトーム)、高速ドリル
  • 動脈瘤クリップ各種+クリップアプライヤー(永久クリップ・一時遮断クリップ)
  • マイクロ器械(マイクロ剪刀、マイクロ剥離子、マイクロ吸引管)
  • バイポーラ(マイクロ用の細いもの)と洗浄用滴下装置
  • 術中神経モニタリング、ICG蛍光造影(血流確認用)、ドップラー血流計

ディスポーザブル製品

  • 止血材(ゼラチンスポンジ、酸化セルロース)、フィブリン糊
  • ボーンワックス、人工硬膜、頭蓋骨固定用プレート・スクリュー
  • 脳ベラ(リトラクター)用の綿(コットノイド)を各サイズ
  • 洗浄用の温生食(顕微鏡下では常時滴下)
  • ドレーン(皮下・硬膜外)

器械出し看護師のポイント

  1. マイクロ器械は非常に繊細で高価。先端同士がぶつからないよう、専用のラックに立てて管理する。

  2. 顕微鏡下では術者は視野から目を離せない。器械は必ず術者の手に「当てて」渡し、返された器械はすぐ定位置に戻す。

  3. 動脈瘤クリップは形状・長さ・角度の種類が非常に多い。術者が求めるクリップをすぐ出せるよう、種類を並べて把握しておく。

  4. 一時遮断クリップを使う場面は時間制限がある。遮断開始からの経過時間を計測して声で伝える。

  5. コットノイド(脳綿)は各サイズを湿らせて用意し、使用枚数を必ずカウントする(体内遺残致命的)。

  6. 止血材とフィブリン糊はすぐ必要になる。切って湿らせた状態で複数準備しておく。

  7. 顕微鏡操作中の術野は静寂が必要。不要な会話・物音を避け、動作も静かに行う。

外回り看護師のポイント

  1. 血圧管理が生死を分ける。破裂前は血圧を上げすぎない、遮断中は下げすぎないなど、場面ごとの目標を麻酔科と共有する。

  2. 3点ピン固定の瞬間は強い痛み刺激で血圧が上がる。麻酔科に必ず声をかけてから固定する。

  3. 頭部固定後は頸部の角度、気管チューブの屈曲、眼球の保護(テープ固定)を確認する。

  4. 顕微鏡の搬入・位置調整・滅菌ドレープ装着は外回りの重要な仕事。事前に動作確認をしておく。

  5. 術中に麻酔科から血圧を上げる/下げる指示が飛ぶ。薬剤をすぐ準備できるようにしておく。

  6. ICG蛍光造影を行う場合はICGの準備と投与のタイミングを術者と合わせる(アレルギー既往も確認)。

  7. コットノイドのカウントを器械出しとダブルチェックする。数が合わない場合は必ず術者に伝える。

  8. 予測される合併症:術中破裂、脳血管攣縮、脳浮腫、痙攣。術後の意識レベル評価方法を病棟へ申し送る。

緊急時の対応

  1. 術中破裂:吸引を2本体制にし、一時遮断クリップ・止血材・大量の生食を即座に渡す。同時に輸血と応援を手配する。

  2. 血圧の急変時は麻酔科の指示に即応できるよう、昇圧薬・降圧薬をすぐ使える位置に置いておく。

  3. 急性脳腫脹(脳が膨れて閉頭できない):浸透圧利尿薬の追加、外減圧の準備、頭蓋骨保存の手配を進める。

  4. 急変時こそ「静かに、短く」伝える。大声のパニックは顕微鏡下の術者の手元を狂わせる。

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今日もおつかれさま。ひとつ覚えたら、明日はもう少しラクになります。