経蝶形骨洞下垂体腫瘍摘出術
ハーディ手術
下垂体腫瘍に対して、鼻から内視鏡または顕微鏡を入れ、蝶形骨洞を通って腫瘍を摘出する手術。頭を開けずに済む。所要時間は2〜4時間程度。髄液漏と内頸動脈損傷が重大な合併症で、術後のホルモン管理も重要。
ここは要注意
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- 鼻腔ガーゼの遺残は感染の原因になる。糸付き・全数カウントを徹底する。
- 内頸動脈損傷は一瞬で致命的な出血になる。「鼻からの小さい手術」という感覚を持たない。
- 術後の透明な鼻汁は髄液漏の可能性がある。「風邪かな」で流さず報告する。
- 尿量の急増は尿崩症のサイン。記録と報告を怠らない。
体位・麻酔・皮膚消毒
体位
仰臥位+やや頭高位、頭部を軽く伸展させて固定(3点ピンまたはヘッドレスト)。
麻酔
全身麻酔(経口挿管)。術野が鼻のため、チューブは口角に固定する。
皮膚消毒
鼻腔内は消毒せず、鼻周囲と顔面をドレープで覆う。腹部や大腿から脂肪・筋膜を採取する場合はその部位も消毒する。
必要物品・器械
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基本セット
- 経鼻手術セット
- 鼻鏡、細長い剥離子・キュレット・鉗子
特殊器械
- 内視鏡(0度・30度・45度)とカメラ・光源、または手術用顕微鏡
- 高速ドリル(細いバー)
- ニューロナビゲーション
- リングキュレット、吸引管(各種の細さ・角度)
- 経鼻用の長いバイポーラ
ディスポーザブル製品
- 血管収縮薬を浸したガーゼ(枚数を厳密にカウント)
- 止血材、人工硬膜、フィブリン糊
- 腹部・大腿からの脂肪/筋膜採取用の小手術セット
- 鼻腔タンポン、洗浄用生食
- 術中迅速病理用の検体容器
器械出し看護師のポイント
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- 鼻腔に入れるガーゼは奥に入ると見えなくなる。糸付きにして枚数を厳密にカウントする。
- 器械はすべて細長い。先端の形状(角度付きキュレットなど)が多く似ているので、順番に並べて把握する。
- 内頸動脈が術野のすぐ横を走る。術者が慎重になる場面では静かに、確実に器械を渡す。
- 髄液漏に備え、脂肪・筋膜の採取器械、人工硬膜、フィブリン糊をすぐ出せる位置に置く。
- 内視鏡はすぐ曇る・汚れる。洗浄と拭き取りをセットで手元に用意する。
- 摘出腫瘍は病理とホルモン検査に出す。検体の扱いを術者に確認する。
外回り看護師のポイント
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- 術後にホルモン補充が必要になることが多い。ステロイドの投与指示と、尿量の急増(尿崩症)の観察を申し送る。
- 尿崩症では術中〜術直後から尿量が急増する。尿量を経時的に記録する。
- 血管収縮薬入りガーゼの使用量を把握し、血圧上昇・頻脈に注意する。
- 脂肪・筋膜を採取する場合、腹部や大腿の術野も準備する。ドレープと器械を分ける。
- 術後は鼻をかまない・強くいきまないなどの制限がある(髄液漏の予防)。患者説明の内容を把握する。
- 予測される合併症:髄液鼻漏、尿崩症、下垂体機能低下、内頸動脈損傷、視力・視野障害。
緊急時の対応
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- 内頸動脈損傷:大量のガーゼによる圧迫、輸血、血管内治療(IVR)への搬送を同時に手配する。極めて緊急。
- 髄液漏が判明したら、脂肪・筋膜の採取と人工硬膜・フィブリン糊による閉鎖に備えて物品を手配する。
- 術後の尿崩症(多量の薄い尿):直ちに報告し、電解質測定とデスモプレシンの準備を確認する。
- 副腎不全(血圧低下・低血糖)に備え、ステロイドの投与指示を確認しておく。
確認先・参考資料6
このページの本文は特定の文献を書き写したものではないため、文ごとの一次出典はありません。下記は記述が正しいかを確かめるための公的資料です。実際の手順は必ず自施設の手順書と指導者の指示を優先してください。
- 手術医療の実践ガイドライン日本手術医学会手術室の運用、清潔操作、手術体位、器械・機器の取り扱い、医療安全
- 指針・ガイドライン(安全な麻酔のためのモニター指針・気道管理ガイドラインなど)日本麻酔科学会麻酔方法、術中モニタリング、気道管理、筋弛緩モニタリング
- 手術看護業務基準ほか学会刊行物日本手術看護学会器械出し・外回りの業務基準、体位固定、器械カウント、申し送り
- 消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン日本外科感染症学会皮膚消毒、予防的抗菌薬の投与と追加、手術部位感染(SSI)の予防
- 褥瘡予防・管理ガイドライン日本褥瘡学会術中の体圧分散・除圧、褥瘡と皮膚障害の予防
- Mindsガイドラインライブラリ日本医療機能評価機構各診療科の診療ガイドラインの横断検索(学会公式版の所在確認)
リンクは2026年8月4日時点で実在を確認したものです。