微小血管減圧術
MVD
三叉神経痛や顔面けいれんの原因となっている、脳幹近くで神経を圧迫する血管を剥がし、テフロンフェルトなどで移動・固定する手術。耳の後ろの小さな開頭から顕微鏡下に行う。所要時間は2〜4時間程度。聴力温存のためのABRモニタリングが特徴。
ここは要注意
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- ABRの悪化を「ノイズだろう」で流さない。難聴が永久に残る。
- テフロン片とコットノイドの遺残は重大事故。カウントを厳密に。
- 肩テープの過牽引は腕神経叢損傷になる。固定後に上肢の位置を確認する。
- 術後の後頭下血腫は急速に呼吸障害へ進む。覚醒遅延を軽視しない。
体位・麻酔・皮膚消毒
体位
側臥位(パークベンチ位)+頭部3点ピン固定。肩をテープで牽引するため、過牽引による腕神経叢損傷に注意する。
麻酔
全身麻酔。ABR(聴性脳幹反応)と顔面神経モニタリングを行うため、筋弛緩薬の使用に制限がある。麻酔科と必ず共有する。
皮膚消毒
耳後部の剃毛部を中心に消毒する。耳内に消毒液が入らないよう保護する。
必要物品・器械
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基本セット
- 開頭基本セット(小開頭用)
- 高速ドリルと各種バー
- 小自動開創器
特殊器械
- 手術用顕微鏡(滅菌ドレープ)
- マイクロ器械一式(剥離子・剪刀・吸引管)
- テフロンフェルト(術中に指示のサイズへ成形する)
- ABR・顔面神経モニタリング装置
- マイクロ用バイポーラ
ディスポーザブル製品
- コットノイド(脳綿)各サイズ
- 止血材、フィブリン糊、人工硬膜、ボーンワックス
- 洗浄用温生食
器械出し看護師のポイント
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- テフロンフェルトは術者の指示するサイズに成形して渡す。切片の数を必ずカウントする(遺残・脱落は再発や合併症になる)。
- コットノイドの使用枚数と回収枚数を一致させる。
- マイクロ器械は先端同士を接触させず、専用ラックで管理する。
- 小脳と脳幹の間の深く狭い術野。器械は術者の手に確実に当てて渡す。
- 顕微鏡下の操作中は静寂を保つ。
- 髄液が持続的に流出する場面がある。細い吸引管を切らさない。
外回り看護師のポイント
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- ABRの波形変化は聴力に直結する。モニタリング担当からの報告を直ちに術者へ伝える。
- パークベンチ位の固定:下側の腋窩枕、肩テープの牽引しすぎ、腓骨頭の除圧を確認する。
- 3点ピン固定時の血圧上昇に備え、麻酔科に声をかけてから固定する。
- 頭部が心臓より高くなるため空気塞栓のリスクがある。EtCO2の急低下を見逃さない。
- 術後の顔面の動き・聴力・めまいの評価方法を病棟へ申し送る。
- 後頭下の術後血腫は呼吸停止に直結する。意識レベルと呼吸の観察を強く申し送る。
緊急時の対応
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- 空気塞栓(EtCO2急低下・血圧低下):直ちに報告し、術野を生食で満たす操作と体位調整に備える。
- 錐体静脈などからの出血:止血材とコットノイドを連続で供給し、視野確保を支える。
- ABR波形の急変:操作の中断につながる重要情報。ためらわず伝える。
- 術後の意識レベル低下・呼吸抑制:後頭下血腫を疑い、緊急CTと再開頭の準備を進める。
確認先・参考資料6
このページの本文は特定の文献を書き写したものではないため、文ごとの一次出典はありません。下記は記述が正しいかを確かめるための公的資料です。実際の手順は必ず自施設の手順書と指導者の指示を優先してください。
- 手術医療の実践ガイドライン日本手術医学会手術室の運用、清潔操作、手術体位、器械・機器の取り扱い、医療安全
- 指針・ガイドライン(安全な麻酔のためのモニター指針・気道管理ガイドラインなど)日本麻酔科学会麻酔方法、術中モニタリング、気道管理、筋弛緩モニタリング
- 手術看護業務基準ほか学会刊行物日本手術看護学会器械出し・外回りの業務基準、体位固定、器械カウント、申し送り
- 消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン日本外科感染症学会皮膚消毒、予防的抗菌薬の投与と追加、手術部位感染(SSI)の予防
- 褥瘡予防・管理ガイドライン日本褥瘡学会術中の体圧分散・除圧、褥瘡と皮膚障害の予防
- Mindsガイドラインライブラリ日本医療機能評価機構各診療科の診療ガイドラインの横断検索(学会公式版の所在確認)
リンクは2026年8月4日時点で実在を確認したものです。