喉頭微細手術
ラリンゴマイクロ
声帯ポリープや声帯結節、喉頭腫瘍に対して、口から硬い喉頭鏡(直達鏡)を入れ、顕微鏡下に声帯の病変を切除する手術。所要時間は30分〜1時間程度。気道を術者と麻酔科が共有する、特殊な状況の手術。
ここは要注意
4
- 術野火災は現実に起こる。酸素濃度、耐燃性チューブ、レーザーの3点を必ず確認する。
- 小綿花の遺残は気道閉塞につながる。枚数のカウントを絶対に省略しない。
- 前歯の損傷は術後トラブルになりやすい。術前の歯の状態を必ず記録する。
- 検体が非常に小さい。受け取った瞬間に容器へ入れる習慣を徹底する。
体位・麻酔・皮膚消毒
体位
仰臥位+頭部を伸展させ、喉頭鏡を挿入するために頸部の角度を調整する。前歯の保護(マウスピース)が必須。
麻酔
全身麻酔。細い気管チューブ(マイクロラリンゲアルチューブ)を使う、または無挿管で間欠的に換気するなど、術式に応じた方法を麻酔科と共有する。
皮膚消毒
口腔内は消毒しないことが多い。顔面周囲をドレープで覆い、眼を保護する。
必要物品・器械
10
基本セット
- 喉頭微細手術セット(極細の喉頭用鉗子・剪刀)
特殊器械
- 直達喉頭鏡(サイズ違い)と支持器(胸壁に固定する)
- 手術用顕微鏡(長焦点レンズ)
- 喉頭用マイクロ鉗子・マイクロ剪刀・吸引管(すべて細長い)
- 炭酸ガスレーザー(使用する場合)と保護具
- 前歯保護用のマウスピース
ディスポーザブル製品
- 血管収縮薬を浸した小さな綿花(枚数を厳密にカウント)
- 検体容器(病変が非常に小さいため紛失に注意)
- レーザー使用時は保護眼鏡・耐燃性の気管チューブ
- 洗浄用生食
器械出し看護師のポイント
6
- 器械はすべて細長く先端が極小。似た器械が多いので、使用順に並べて把握する。
- 切除する病変が数ミリと非常に小さい。検体を紛失しないよう、受け取ったら直ちに容器へ入れる。
- 口腔・喉頭に入れる小綿花は必ず枚数をカウントする。気道への落下は致命的。
- 顕微鏡下で術者は視野から目を離せない。器械は手に確実に当てて渡す。
- レーザーを使う場合は耐燃性の気管チューブが使われているか確認し、保護眼鏡を全員が着用する。
- 喉頭鏡の支持器を胸壁に固定する。装着時に胸部を圧迫しないよう位置を確認する。
外回り看護師のポイント
6
- 術野火災のリスクが極めて高い(気道+高濃度酸素+レーザー/電気メス)。酸素濃度を下げる指示とタイミングを全員で共有する。
- 前歯の損傷が起こりやすい。マウスピースの装着を確認し、術前の歯の状態(動揺歯・差し歯)を記録する。
- 気道を術者と麻酔科が共有する。換気方法(細径チューブ・間欠換気)を事前に共有し、換気中は術野の操作を止める。
- レーザー安全管理:室外表示、扉の管理、全員の保護眼鏡、患者の眼と顔面の保護を確認する。
- 術後は声を出さない指示(沈黙療法)が出ることが多い。期間と方法を病棟・患者へ申し送る。
- 予測される合併症:術野火災、前歯損傷、気道浮腫、声帯の瘢痕による嗄声、出血。
緊急時の対応
4
- 術野火災:直ちに酸素供給を止め、気管チューブを抜去し、生食で消火する。手順を全員が言えるようにしておく。
- 抜管後の気道浮腫・呼吸困難:ステロイド、再挿管物品、気管切開セットをすぐ使える状態にする。
- 出血で気道が塞がる危険がある。太い吸引を必ず手元に置く。
- 換気ができない状況では、術者に器械を抜いてもらい経口挿管を最優先にする。
確認先・参考資料6
このページの本文は特定の文献を書き写したものではないため、文ごとの一次出典はありません。下記は記述が正しいかを確かめるための公的資料です。実際の手順は必ず自施設の手順書と指導者の指示を優先してください。
- 手術医療の実践ガイドライン日本手術医学会手術室の運用、清潔操作、手術体位、器械・機器の取り扱い、医療安全
- 指針・ガイドライン(安全な麻酔のためのモニター指針・気道管理ガイドラインなど)日本麻酔科学会麻酔方法、術中モニタリング、気道管理、筋弛緩モニタリング
- 手術看護業務基準ほか学会刊行物日本手術看護学会器械出し・外回りの業務基準、体位固定、器械カウント、申し送り
- 消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン日本外科感染症学会皮膚消毒、予防的抗菌薬の投与と追加、手術部位感染(SSI)の予防
- 褥瘡予防・管理ガイドライン日本褥瘡学会術中の体圧分散・除圧、褥瘡と皮膚障害の予防
- Mindsガイドラインライブラリ日本医療機能評価機構各診療科の診療ガイドラインの横断検索(学会公式版の所在確認)
リンクは2026年8月4日時点で実在を確認したものです。