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耳鼻咽喉科頭頸部

甲状腺手術

甲状腺葉切除術

甲状腺の腫瘍に対して、甲状腺の片葉(または全摘)を切除する手術。所要時間は2〜3時間程度。反回神経(声帯を動かす神経)と副甲状腺を温存することが最重要で、神経モニタリングを使用することが多い。

ここは要注意!

  • 術後血腫は数時間で気道閉塞を起こす。「少し腫れているだけ」で済ませない。
  • 神経モニタリングの反応低下は術者へ即報告。声を失うかどうかがかかっている。
  • 頸部の過伸展は術後の強い頸部痛や神経症状を招く。特に高齢者・頸椎症の患者で注意。
  • 低カルシウム血症は術後数時間〜数日で出る。口周囲のしびれの訴えを申し送りに含める。

体位・麻酔・皮膚消毒

体位

仰臥位+肩枕で頸部を伸展(頸部後屈位)。頸椎疾患のある患者では過伸展に注意する。頭部が安定するよう枕で固定する。

麻酔

全身麻酔(気管挿管)。神経モニタリングを行う場合は専用の電極付き気管チューブを使い、筋弛緩薬の使用に制限がある。

皮膚消毒

下顎〜乳頭ライン、側方は両僧帽筋前縁まで。

必要物品・器械

基本セット

  • 甲状腺手術セット
  • 小自動開創器、細い剥離剪刀、モスキート鉗子多数
  • 持針器・鑷子

特殊器械

  • 反回神経モニタリング装置(電極付き気管チューブとプローブ)
  • ベッセルシーリングシステムまたは超音波凝固切開装置
  • 細いバイポーラ
  • 拡大鏡(ルーペ)

ディスポーザブル製品

  • 止血材、局所止血剤
  • 細い吸収糸(血管結紮用)
  • ドレーン(血腫予防のため留置することが多い)
  • 神経モニタリング用の電極

器械出し看護師のポイント

  1. 反回神経の同定と温存が最重要。神経周囲の操作中はモニタリングのプローブをすぐ渡せるようにする。

  2. モスキート鉗子を大量に使う術式。数を揃えて並べ、カウントを崩さない。

  3. 副甲状腺は米粒大で見分けにくい。術者が探している間は静かに待ち、必要な器械だけを渡す。

  4. エネルギーデバイスの熱が神経に伝わると麻痺の原因になる。術者が使用を控える場面を理解しておく。

  5. 摘出標本は左右と部位を明示して提出する。術中迅速病理に出すこともある。

  6. 閉創前の止血確認は入念に行われる。術後血腫は気道閉塞につながるため、止血材を切らさない。

外回り看護師のポイント

  1. 術後血腫による気道閉塞が最も怖い合併症。抜管後の頸部の腫れ、呼吸苦、嗄声を観察し、ドレーンの排液量を記録する。

  2. 神経モニタリング使用時は、専用チューブの位置と筋弛緩薬の使用制限を麻酔科と共有する。

  3. 頸部後屈位は術後の頸部痛の原因になる。過度な伸展を避け、肩枕の高さを術者と相談する。

  4. 副甲状腺を損傷すると術後低カルシウム血症が起きる(口周囲のしびれ、テタニー)。全摘例では特に注意して申し送る。

  5. 術後の嗄声・誤嚥のリスクを病棟へ申し送る。飲水開始時の観察ポイントを共有する。

  6. ベッドサイドに抜糸セット(緊急で創を開けるため)を用意しておく施設もある。ルールを確認する。

  7. 予測される合併症:反回神経麻痺(嗄声)、低カルシウム血症、術後血腫、感染。

緊急時の対応

  1. 術後血腫による気道閉塞:直ちに応援を呼び、創部開放(抜糸)の準備と再挿管物品を用意する。分秒を争う。

  2. 抜管後の呼吸苦・吸気性喘鳴は両側反回神経麻痺の可能性。再挿管と気管切開の準備をする。

  3. 術中の大量出血(甲状腺は血流が豊富)では、止血材とシーリングデバイスを追加し、輸血を手配する。

  4. 低カルシウム血症によるテタニー:カルシウム製剤の準備と静脈ルートの確保を行う。

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今日もおつかれさま。ひとつ覚えたら、明日はもう少しラクになります。