喉頭全摘術
喉摘
進行した喉頭癌に対して、喉頭をすべて摘出し、気管を首の前に縫い付けて永久気管孔を作る手術。所要時間は4〜8時間(頸部郭清や再建を伴うとさらに長い)。声を失うという大きな喪失を伴い、術後のコミュニケーション支援まで看護の役割が続く。
ここは要注意
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- 挿管切り替えの瞬間は術野火災と気道喪失のリスクが最も高い。この時間帯に不要な作業をしない。
- 永久気管孔の患者は口や鼻からの吸引・酸素投与が意味をなさない。全スタッフが理解している必要がある。
- 声を失う喪失体験への配慮を忘れない。術野の会話にも注意する。
- 術中迅速病理の検体をホルマリンに入れない。
体位・麻酔・皮膚消毒
体位
仰臥位+肩枕で頸部を伸展。長時間手術のため除圧を確実に。再建の皮弁を採取する場合はその部位も出せる体位にする。
麻酔
全身麻酔。手術の途中で経口挿管から気管孔への挿管へ切り替える場面があり、麻酔科との連携が必須。
皮膚消毒
下顎〜前胸部、頸部全周。皮弁採取部(前腕・大腿など)も別に消毒する。
必要物品・器械
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基本セット
- 頭頸部手術セット
- 頸部郭清用の細い剥離剪刀・モスキート鉗子多数
- 持針器・鑷子
特殊器械
- 電気メス、バイポーラ、超音波凝固切開装置
- 気管切開・気管孔形成用の器械、気管カニューレ各サイズ
- 神経モニタリング(副神経など)
- 遊離皮弁を用いる場合はマイクロ器械と手術用顕微鏡
- 気管食道シャント(発声用)を作る場合の専用器具
ディスポーザブル製品
- 気管カニューレ、人工鼻
- 術中迅速病理用の検体容器(切除断端の評価)
- 咽頭再建用の縫合糸、経鼻胃管(術後の栄養用)
- ドレーン(頸部)、止血材
器械出し看護師のポイント
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- 経口挿管から気管孔への挿管切り替えが最大の緊張場面。太い吸引と気管カニューレを必ず手元に揃えておく。
- 切り替えの瞬間は術野火災のリスクが高い。高濃度酸素下で電気メスを使わない。
- 咽頭を開けた後は汚染野になる。器械を分け、清潔野との線引きを明確にする。
- 術中迅速病理で切除断端を評価する。検体はホルマリンに入れず、部位を明示して直ちに提出する。
- 咽頭の縫合(再建)が縫合不全を左右する。糸を絡ませず正確に渡す。
- 長時間手術。交代時は器械の配置とカウントを口頭で確実に引き継ぐ。
外回り看護師のポイント
6
- 声を失う手術。術前からのコミュニケーション手段(筆談ボード、文字盤、タブレット)を準備するよう申し送る。
- 永久気管孔になるため、術後は鼻や口からの呼吸ができない。吸引・加湿の方法を病棟へ確実に申し送る。
- 気管孔の計画外閉塞・カニューレ抜去は窒息に直結する。ベッドサイドに予備カニューレと気管拡張鉗子を常備するよう伝える。
- 術後は経口摂取ができず経管栄養になる。胃管の留置と栄養開始時期を申し送る。
- 長時間手術。除圧・保温・抗菌薬の追加投与を継続的に管理する。
- 予測される合併症:咽頭皮膚瘻(縫合不全)、出血、気管孔の狭窄、嚥下障害、精神的な喪失反応。
緊急時の対応
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- 術野火災:直ちに酸素供給を止め、火元を除去し、生食で消火する。手順を全員が言えるようにしておく。
- 気管孔からの出血や気道閉塞:太い吸引と予備カニューレを直ちに使い、応援を呼ぶ。
- 頸部大血管(頸動脈)損傷:大量出血になる。応援・輸血・血管修復物品を同時に手配する。
- 皮弁再建を行った場合、血流障害は緊急再手術で救えることがある。観察方法を申し送る。
確認先・参考資料6
このページの本文は特定の文献を書き写したものではないため、文ごとの一次出典はありません。下記は記述が正しいかを確かめるための公的資料です。実際の手順は必ず自施設の手順書と指導者の指示を優先してください。
- 手術医療の実践ガイドライン日本手術医学会手術室の運用、清潔操作、手術体位、器械・機器の取り扱い、医療安全
- 指針・ガイドライン(安全な麻酔のためのモニター指針・気道管理ガイドラインなど)日本麻酔科学会麻酔方法、術中モニタリング、気道管理、筋弛緩モニタリング
- 手術看護業務基準ほか学会刊行物日本手術看護学会器械出し・外回りの業務基準、体位固定、器械カウント、申し送り
- 消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン日本外科感染症学会皮膚消毒、予防的抗菌薬の投与と追加、手術部位感染(SSI)の予防
- 褥瘡予防・管理ガイドライン日本褥瘡学会術中の体圧分散・除圧、褥瘡と皮膚障害の予防
- Mindsガイドラインライブラリ日本医療機能評価機構各診療科の診療ガイドラインの横断検索(学会公式版の所在確認)
リンクは2026年8月4日時点で実在を確認したものです。