気管切開術
気切
長期の人工呼吸管理や上気道閉塞に対して、頸部から気管に穴を開けてカニューレを留置する手術。所要時間は30分〜1時間程度。気道そのものを扱うため、術中の気道確保が途切れる瞬間があり、オペ室で最も緊張する場面のひとつ。
ここは要注意
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- 術野火災のリスクが最も高い手術のひとつ。高濃度酸素下で電気メスを使わない。酸素濃度を必ず確認する。
- 気管切開の瞬間は気道が一時的に不安定になる。この時間帯に不要な会話や作業をしない。
- カニューレの計画外抜去は気道を失う。固定を確実にし、予備のカニューレを必ず用意する。
- 術直後の抜去は瘻孔が完成しておらず再挿入が困難。病棟への申し送りで強調する。
体位・麻酔・皮膚消毒
体位
仰臥位+肩枕で頸部を伸展(頸部後屈位)。頸椎疾患のある患者では過伸展を避ける。肥満や短頸の患者では術野の確保が難しい。
麻酔
全身麻酔(すでに挿管されている患者が多い)または局所麻酔。気管切開の瞬間に気管チューブを引き抜く操作があり、麻酔科との連携が必須。
皮膚消毒
下顎〜前胸部。頸部を広く消毒する。
必要物品・器械
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基本セット
- 気管切開セット
- 小自動開創器、気管拡張鉗子、単鉤、持針器
- メス・剪刀・モスキート鉗子
特殊器械
- 気管カニューレ(サイズ違いを複数、カフ付き・カフなし)
- 電気メス、バイポーラ
- 太い吸引管(気管内の分泌物・血液用)
- ヘッドライトまたは無影灯の調整
ディスポーザブル製品
- 気管カニューレとカニューレホルダー
- 吸引カテーテル、人工鼻
- 止血材、縫合糸
- 予備の気管チューブと喉頭鏡(再挿管に備える)
器械出し看護師のポイント
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- 気管を切開する瞬間が最大の山場。太い吸引と気管拡張鉗子、気管カニューレを必ず手元に揃えておく。
- 気管カニューレはサイズを術者と確認し、カフの破損がないか事前にテストしてから渡す。
- 気管切開の瞬間は血液と分泌物が噴き出す。吸引を切らさず、防護具を着用する。
- カニューレ挿入後は換気の確認が最優先。器械の受け渡しを止めて、換気が戻るのを確認する。
- カニューレが抜けると気道を失う。固定用のホルダーと縫合糸をすぐ渡せるようにする。
- 予備のカニューレ(同サイズと1サイズ小さいもの)を必ず室内に用意しておく。
外回り看護師のポイント
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- 気道を扱う手術。再挿管の物品(喉頭鏡、気管チューブ、バッグバルブマスク)を必ずすぐ使える位置に置く。
- 気管切開の瞬間に気管チューブを引き抜く。麻酔科の指示のタイミングを全員で共有し、余計な会話をしない。
- 術野の火災リスクが高い(高濃度酸素+電気メス+気道)。切開の直前に酸素濃度を下げる指示を確認する。
- カニューレのサイズ・種類・カフ圧を記録し、病棟へ申し送る。
- 術後はカニューレの計画外抜去が最も危険。固定方法と、抜けたときの対応を病棟へ確実に申し送る。
- 予測される合併症:出血、皮下気腫、カニューレの計画外抜去、気管食道瘻、気管狭窄。
緊急時の対応
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- 術野火災:直ちに気管チューブから酸素の供給を止め、火元を除去し、生食で消火する。手順を事前に頭に入れておく。
- カニューレの計画外抜去:直ちに気管拡張鉗子で気管孔を広げ、カニューレを再挿入する。困難なら経口挿管に切り替える。
- 大量出血(甲状腺・腕頭動脈):吸引を増やし、止血材と圧迫、応援と輸血を同時に手配する。
- 換気できない状態が生じたら、まず経口からの再挿管を最優先で準備する。
確認先・参考資料6
このページの本文は特定の文献を書き写したものではないため、文ごとの一次出典はありません。下記は記述が正しいかを確かめるための公的資料です。実際の手順は必ず自施設の手順書と指導者の指示を優先してください。
- 手術医療の実践ガイドライン日本手術医学会手術室の運用、清潔操作、手術体位、器械・機器の取り扱い、医療安全
- 指針・ガイドライン(安全な麻酔のためのモニター指針・気道管理ガイドラインなど)日本麻酔科学会麻酔方法、術中モニタリング、気道管理、筋弛緩モニタリング
- 手術看護業務基準ほか学会刊行物日本手術看護学会器械出し・外回りの業務基準、体位固定、器械カウント、申し送り
- 消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン日本外科感染症学会皮膚消毒、予防的抗菌薬の投与と追加、手術部位感染(SSI)の予防
- 褥瘡予防・管理ガイドライン日本褥瘡学会術中の体圧分散・除圧、褥瘡と皮膚障害の予防
- Mindsガイドラインライブラリ日本医療機能評価機構各診療科の診療ガイドラインの横断検索(学会公式版の所在確認)
リンクは2026年8月4日時点で実在を確認したものです。