術式一覧へもどる

泌尿器科腹腔鏡・ロボット手術

RAPN

ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術

小さな腎癌に対して、腎臓を全部取らずに腫瘍だけをくり抜いて腎機能を残す手術。所要時間は3〜4時間程度。腎動脈を一時的に遮断して切除・縫合するため、遮断時間(阻血時間)の管理が腎機能を左右する最大のポイント。

ここは要注意!

  • 阻血時間の計測を忘れると腎機能への影響が評価できない。遮断の瞬間に計時を開始する。
  • 遮断中に器械を探して手間取ると、その分だけ腎臓がダメージを受ける。事前準備がすべて。
  • ドッキング中にベッドを動かすと患者が重大な損傷を受ける。全員で共有する。
  • 術後の遅発性出血(数日後)が起こりうる。観察ポイントを申し送る。

体位・麻酔・皮膚消毒

体位

側臥位(患側が上)。ベッドを屈曲させて側腹部を開く。ロボットのドッキング後はベッドを動かせないことを全員で共有する。

麻酔

全身麻酔(気管挿管)。側臥位+気腹で換気に影響が出る。

皮膚消毒

患側の腋窩〜大腿上部、前後は正中を越えて広く消毒する。

必要物品・器械

基本セット

  • 開腹基本セット(開腹移行に備えて待機)
  • 腹腔鏡基本器械

特殊器械

  • 手術支援ロボット一式とロボット用器械、ロボット用ドレープ
  • 腎動脈遮断用のブルドッグ鉗子(複数サイズ)
  • 腹腔鏡用超音波プローブ(腫瘍の位置確認)
  • 止血用の縫合デバイス(バーブ付き糸+クリップ)
  • 助手用の腹腔鏡器械(吸引、把持鉗子)

ディスポーザブル製品

  • バーブ付き縫合糸(腎実質の縫合用、複数本)
  • 止血材(シート型・粉末型)、フィブリン糊
  • 標本回収バッグ、ICG(腫瘍と血流の同定に使う場合)
  • ドレーン、洗浄用温生食

器械出し看護師のポイント

  1. 阻血時間(腎動脈遮断から解除まで)が腎機能を決める。遮断の合図で計時を開始し、経過時間を定期的に声で伝える。

  2. 遮断中は時間との勝負。切除用の剪刀 → 縫合用の持針器+糸を、迷いなく連続で渡せるよう並べておく。

  3. 腎実質の縫合糸は事前に必要本数を準備しておく。遮断中に糸を探すと時間を失う。

  4. ブルドッグ鉗子は複数サイズ用意する。術者が求めたら即座に渡す。

  5. 術者はコンソールにいて術野から離れている。術野の異常に最初に気づくのは器械出しと助手であることを自覚する。

  6. 緊急時のロボットアーム離脱手順を頭に入れておく。

外回り看護師のポイント

  1. 阻血時間を記録し、術者と共有する。一般に20〜30分以内が目標とされ、超えると腎機能に影響する。

  2. ドッキング後はベッドを動かせない。緊急離脱の手順を室内全員で共有してから始める。

  3. 側臥位+ベッド屈曲は神経障害が起きやすい。腋窩枕、腓骨頭、上肢の位置を固定後に必ず確認する。

  4. 腎機能を残すための手術。術中・術後の尿量と、術後の腎機能検査の予定を把握する。

  5. 腎摘除術への移行の可能性がある。患者・家族への説明と同意の状況を確認しておく。

  6. 予測される合併症:出血(術後の遅発性出血を含む)、尿漏、腎機能低下、周囲臓器損傷。

緊急時の対応

  1. 切除面からの大量出血:まずロボットアームの緊急離脱を最優先で行い、開腹移行と輸血を同時に手配する。

  2. 止血困難で腎摘除術へ移行する場合は、血管用ステープラーとクリップを速やかに準備する。

  3. 阻血時間が想定を大きく超えたら、術者に時間を明確に伝える(遠慮して黙らない)。

  4. 術後の遅発性出血では血管塞栓術(IVR)が必要になる。連絡経路を申し送る。

泌尿器科の他の術式

今日もおつかれさま。ひとつ覚えたら、明日はもう少しラクになります。