経尿道的膀胱腫瘍切除術
TUR-Bt
膀胱の腫瘍を、尿道から内視鏡を入れて電気メスのループで削り取る手術。皮膚を切らない内視鏡手術で、所要時間は30分〜1.5時間程度。灌流液の管理と、切除片(検体)の回収がポイント。
ここは要注意
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- 灌流液の種類の取り違えは致命的。モノポーラに生食を使うと切除できず、バイポーラに非電解質液を使うと動作しない。
- TUR症候群は静かに進行する。「なんとなく元気がない」を見逃さない。
- 閉鎖神経反射による下肢の跳ねは予測できない。体位固定を甘くしない。
- 検体を取りこぼすと病理診断ができない。回収した組織は最後の一片まで容器へ。
体位・麻酔・皮膚消毒
体位
砕石位。支脚器の高さと腓骨神経の圧迫、股関節の過屈曲に注意する。会陰部を台の端に合わせる。
麻酔
脊椎麻酔または全身麻酔。閉鎖神経反射(下肢が突然跳ねる)が起きるため、全身麻酔+筋弛緩が選ばれることもある。
皮膚消毒
外陰部・会陰部・大腿内側。尿道口を中心に消毒する。
必要物品・器械
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基本セット
- 経尿道手術セット
- 尿道拡張用ブジー(必要時)
特殊器械
- レゼクトスコープ(切除鏡)一式とループ電極
- 内視鏡カメラ・光源ケーブル
- 高周波発生装置(モノポーラまたはバイポーラ)
- 灌流液の吊り下げ装置と灌流ライン
- エバキュエーター(切除片を吸い出す器具)
ディスポーザブル製品
- 灌流液(モノポーラでは非電解質液、バイポーラでは生食)を大量に
- 膀胱留置カテーテル(術後の持続灌流用に3wayを使うことが多い)
- 検体容器(切除片用。腫瘍の部位ごとに分けることがある)
- 潤滑ゼリー
器械出し看護師のポイント
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- 灌流液の種類はエネルギーデバイスで変わる(モノポーラは非電解質液、バイポーラは生食)。取り違えは重大事故になるため必ず確認する。
- 灌流液を切らさない。視野が濁ると切除が止まる。残量を常に見て早めに交換する。
- 切除片は病理検査の検体そのもの。エバキュエーターで回収した組織を取りこぼさず容器へ移す。
- 腫瘍の部位別に検体を分ける指示があることがある。容器のラベリングを術者と確認する。
- レゼクトスコープは細く繊細な器械。組み立ての順序を覚え、レンズを傷つけない。
- 膀胱穿孔が起きると術式が変わる。開腹セットの場所を把握しておく。
外回り看護師のポイント
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- 灌流液の吸収による低ナトリウム血症(TUR症候群)に注意。長時間になるほどリスクが上がるため、経過時間と灌流量を記録する。
- TUR症候群の症状:血圧低下、徐脈、悪心、意識混濁。脊椎麻酔では患者の訴えが早期発見の手がかりになる。
- 灌流液は温めて使用する。冷たい灌流液は体温を大きく下げる。
- 閉鎖神経反射で下肢が突然跳ねると膀胱穿孔につながる。体位の固定を確実にし、術者の合図に注意する。
- 砕石位の下肢を上げ下げする瞬間は血圧が変動する。左右同時にゆっくり動かす。
- 術後は持続膀胱洗浄になることが多い。3wayカテーテルと洗浄液の準備、滴下速度の申し送りを行う。
- 予測される合併症:膀胱穿孔、術後出血、TUR症候群、尿道損傷。
緊急時の対応
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- TUR症候群を疑ったら:直ちに術者・麻酔科へ報告し、手術の早期終了と利尿薬・高張食塩水の準備をする。
- 膀胱穿孔(灌流液の還流が悪い、腹部膨満):直ちに報告し、開腹への移行とカテーテル留置の準備をする。
- 大量出血で視野が失われたら灌流量を増やし、持続灌流用のカテーテルとバルーン牽引の準備をする。
- 脊椎麻酔中の患者の訴え(気分不良・頭痛)は重要なサイン。必ず麻酔科へ伝える。
確認先・参考資料6
このページの本文は特定の文献を書き写したものではないため、文ごとの一次出典はありません。下記は記述が正しいかを確かめるための公的資料です。実際の手順は必ず自施設の手順書と指導者の指示を優先してください。
- 手術医療の実践ガイドライン日本手術医学会手術室の運用、清潔操作、手術体位、器械・機器の取り扱い、医療安全
- 指針・ガイドライン(安全な麻酔のためのモニター指針・気道管理ガイドラインなど)日本麻酔科学会麻酔方法、術中モニタリング、気道管理、筋弛緩モニタリング
- 手術看護業務基準ほか学会刊行物日本手術看護学会器械出し・外回りの業務基準、体位固定、器械カウント、申し送り
- 消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン日本外科感染症学会皮膚消毒、予防的抗菌薬の投与と追加、手術部位感染(SSI)の予防
- 褥瘡予防・管理ガイドライン日本褥瘡学会術中の体圧分散・除圧、褥瘡と皮膚障害の予防
- Mindsガイドラインライブラリ日本医療機能評価機構各診療科の診療ガイドラインの横断検索(学会公式版の所在確認)
リンクは2026年8月4日時点で実在を確認したものです。