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外科上部消化管

LDG

腹腔鏡下幽門側胃切除術

胃癌に対して、胃の幽門側(出口側)約2/3とリンパ節を切除し、残った胃と十二指腸または空腸をつなぐ手術。所要時間は4〜5時間程度。リンパ節郭清、血管処理、再建(吻合)と工程が多く、器械の種類も多い。

ここは要注意!

  • カートリッジの使用数が多く、カウントが崩れやすい。1本使うごとに声に出して数える習慣を徹底する。
  • 長時間手術では術者もスタッフも集中力が落ちる。交代のタイミングと休憩を計画的に取る。
  • 術中内視鏡の出し入れは清潔野を汚染する最大の場面。動線と役割を事前に決めておく。
  • 膵臓の近くを操作するため、術後に膵液瘻が起きうる。ドレーン排液の「ワインレッド色」の変化に注意して申し送る。

体位・麻酔・皮膚消毒

体位

仰臥位・開脚位(術者が脚の間に立つことがある)。頭高位に傾けるため、ずり落ち防止の固定と足台を確実に。長時間のため除圧を入念に行う。

麻酔

全身麻酔(気管挿管)+硬膜外麻酔の併用が多い。長時間麻酔になる。

皮膚消毒

乳頭ライン〜恥骨結合、側方は両腋窩線まで。開腹移行を想定して広く消毒する。

必要物品・器械

基本セット

  • 開腹基本セット(開腹移行に備えて待機)
  • 鉤・腸鉗子・持針器・鑷子

特殊器械

  • 気腹装置、トロッカー(12mm×2、5mm×3程度)
  • 腹腔鏡・カメラヘッド・光源ケーブル
  • 超音波凝固切開装置、ベッセルシーリングシステム
  • 自動縫合器(リニアステープラー)+多数のカートリッジ
  • 血管クリップ、クリップアプライヤー
  • 肝臓圧排用の鉤(ネイサンソン型など)
  • 上部消化管内視鏡(吻合部確認・腫瘍位置確認用)

ディスポーザブル製品

  • ステープラーカートリッジ(複数サイズ・多数)
  • 標本回収バッグ、創縁保護器
  • ドレーン(吻合部近傍)、洗浄用温生食
  • ICG(蛍光リンパ節同定を行う場合)
  • 縫合糸各種(吻合部補強・腸間膜閉鎖用)

器械出し看護師のポイント

  1. 工程が多い術式。「郭清 → 十二指腸切離 → 胃切離 → 再建(吻合) → 標本摘出」の流れを頭に入れて先読みする。

  2. ステープラーカートリッジを最も多く使う術式のひとつ。使用サイズと本数をその都度声に出し、外回りと数を合わせる。

  3. 血管処理では出血がすぐ視野を奪う。吸引とガーゼ、クリップを常に手元のすぐ取れる位置に置いておく。

  4. 十二指腸切離後は汚染操作になる。器械の入れ替えルールを術前に確認しておく。

  5. 再建方法(ビルロートI法・ルーワイ法など)で必要な器械と糸が変わる。術式が確定しているか術前に必ず確認する。

  6. 術中内視鏡を使う場合は、内視鏡が不潔野から入ってくる。清潔野との交差に注意し、動線を決めておく。

  7. 摘出標本は病理検査に直結する。切離断端の向きを術者と確認し、指示通りに固定する。

外回り看護師のポイント

  1. 4〜5時間の長時間手術。体位固定・除圧・保温の3点を最初に完璧にしておくことが術中の安全を決める。

  2. 出血量が読みにくい。吸引ボトル・ガーゼ重量・洗浄液量を分けて記録し、麻酔科と定期的に数字を共有する。

  3. 体温管理:開腹に近い侵襲+長時間で低体温になりやすい。加温装置・輸液加温・室温調整を組み合わせる。

  4. 抗菌薬の追加投与(3時間ごとが目安)のタイミングを管理し、投与時刻を記録する。

  5. 術中内視鏡を使う場合は、機器の搬入・接続・鎮静の追加を段取りしておく。

  6. 標本の取り扱い:氏名・部位・向き・固定液を二人で確認。癌の手術では病理結果が治療方針を左右する。

  7. 予測される合併症:縫合不全、膵液瘻、出血、術後肺炎。ドレーン排液の色と量を経時的に記録する。

緊急時の対応

  1. 血管損傷による大量出血:吸引の追加、ガーゼの追加、開腹セットの展開を同時進行で。輸血の払い出しを最優先で動かす。

  2. 血圧低下時は出血量の再計算と麻酔科への即時共有。「たぶん大丈夫」ではなく数字で伝える。

  3. 吻合部トラブルが判明したら、追加のステープラー・縫合糸・ドレーンを速やかに手配する。

  4. 長時間手術での急変では記録が抜けやすい。外回りは時刻と処置を必ずメモに残す。

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今日もおつかれさま。ひとつ覚えたら、明日はもう少しラクになります。