腹腔鏡下脾臓摘出術
Lap 脾摘
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)や脾腫などに対して、腹腔鏡下に脾臓を摘出する手術。所要時間は2〜3時間程度。脾臓は血流が非常に豊富で出血リスクが高く、血小板が少ない患者も多いため、出血対策が最重要。
ここは要注意
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- 脾臓の被膜損傷は一瞬で大出血になる。開腹セットは必ず室内で開けられる状態に。
- 血小板減少の患者では通常の止血操作が効かない。製剤の準備状況を必ず把握する。
- 膵尾部は脾臓のすぐ隣。ドレーン排液の色(ワインレッド様)は膵液瘻のサインとして申し送る。
- 脾摘後は生涯にわたり重症感染症のリスクがある。ワクチンと患者教育の状況を確認する。
体位・麻酔・皮膚消毒
体位
右半側臥位(左側を上に)。ベッドを屈曲させて左季肋部を開く。体幹の固定とずり落ち防止を確実に。
麻酔
全身麻酔(気管挿管)。血小板減少症の患者では硬膜外麻酔を避けることがある。
皮膚消毒
乳頭ライン〜恥骨、左側は背側まで広く消毒する。開腹移行に備える。
必要物品・器械
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基本セット
- 開腹基本セット(開腹移行に備えて必ず待機)
- 鉤・鑷子・持針器
特殊器械
- 気腹装置、トロッカー(12mm×2、5mm×2程度)
- 腹腔鏡・カメラヘッド・光源ケーブル
- ベッセルシーリングシステム、超音波凝固切開装置
- 自動縫合器(脾門部の血管処理用)+カートリッジ
- 血管クリップ、クリップアプライヤー
ディスポーザブル製品
- 標本回収バッグ(大きめ。脾腫では特大が必要)
- 止血材、局所止血剤(多めに準備)
- ステープラーカートリッジ(血管用)
- ドレーン、洗浄用温生食
- 輸血・血小板製剤のルート(術中投与に備える)
器械出し看護師のポイント
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- 脾門部の血管処理が最大の山場。ステープラーとクリップ、シーリングデバイスを全て手元に置き、即座に切り替えられるようにする。
- 脾臓は被膜が薄く、把持すると簡単に裂ける。鈍的な鉗子を使い、強く挟まない。
- 副脾(小さな脾臓組織)が残ると病気が再発する。術者が探す場面では静かに待ち、見落としがないよう協力する。
- 摘出時は大きな回収バッグを使い、袋の中で細かくして取り出すことがある。バッグの破損に注意する。
- 出血に即応できるよう、止血材とガーゼを常に補充しておく。
- ITPの患者では血小板が少なく止血が効きにくい。閉創前の止血確認が長引くことを想定する。
外回り看護師のポイント
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- 血小板製剤や輸血の準備状況を必ず確認する。血小板は術中(脾動脈遮断後)に投与することが多く、タイミングを術者と共有する。
- 術前に肺炎球菌などのワクチン接種が済んでいるか確認する(脾摘後重症感染症の予防)。
- 半側臥位の固定:下側の腋窩枕、下側下肢の腓骨頭の除圧、上側上肢の支持を確認する。
- 出血量の把握を厳密に。脾臓は血液を大量に含む臓器で、出血が急速に進むことがある。
- 体温管理と、大量輸液・輸血に備えた太いルートの確保を行う。
- 予測される合併症:出血、膵尾部損傷(膵液瘻)、脾摘後重症感染症、血栓症。術後の発熱とドレーン排液を申し送る。
緊急時の対応
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- 脾門部・脾被膜からの大量出血:直ちに開腹移行の準備。吸引を追加し、止血材とガーゼを大量に供給する。
- 血圧低下時は輸血と血小板製剤の追加払い出しを最優先で手配する。
- 膵損傷が判明したら、ドレーンの追加と膵液瘻に備えた術後管理の申し送りを準備する。
- 開腹移行では左肋弓下切開になることが多い。必要な鉤と開創器を把握しておく。
確認先・参考資料6
このページの本文は特定の文献を書き写したものではないため、文ごとの一次出典はありません。下記は記述が正しいかを確かめるための公的資料です。実際の手順は必ず自施設の手順書と指導者の指示を優先してください。
- 手術医療の実践ガイドライン日本手術医学会手術室の運用、清潔操作、手術体位、器械・機器の取り扱い、医療安全
- 指針・ガイドライン(安全な麻酔のためのモニター指針・気道管理ガイドラインなど)日本麻酔科学会麻酔方法、術中モニタリング、気道管理、筋弛緩モニタリング
- 手術看護業務基準ほか学会刊行物日本手術看護学会器械出し・外回りの業務基準、体位固定、器械カウント、申し送り
- 消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン日本外科感染症学会皮膚消毒、予防的抗菌薬の投与と追加、手術部位感染(SSI)の予防
- 褥瘡予防・管理ガイドライン日本褥瘡学会術中の体圧分散・除圧、褥瘡と皮膚障害の予防
- Mindsガイドラインライブラリ日本医療機能評価機構各診療科の診療ガイドラインの横断検索(学会公式版の所在確認)
リンクは2026年8月4日時点で実在を確認したものです。