腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術
TAPP
鼠径ヘルニアに対して、腹腔内から腹膜を切開してヘルニア門をメッシュで補強する手術。日帰り〜短期入院で行われることが多く、1〜1.5時間程度。両側同時に行えるのが特徴で、メッシュとタッカー(固定具)の準備が中心になる。
ここは要注意
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- メッシュのサイズ違いを開封すると無駄になるだけでなく、手術が止まる。必ず確定してから開ける。
- 「良性疾患の短時間手術だから軽い」という思い込みが最も危険。膀胱・腸管・大血管の損傷リスクはある。
- ロット番号の記録漏れは後から追えない。開封時にラベルを外回りへ渡す流れを固定する。
- 両側手術では左右の記録が混ざりやすい。左右を明示して記録する。
体位・麻酔・皮膚消毒
体位
仰臥位・両上肢体側固定。術中は頭低位にして腸管を頭側へ寄せる。膀胱を空にしておくため、導尿するか術前排尿を確認する。
麻酔
全身麻酔(気管挿管または声門上器具)。日帰り手術では短時間作用の麻酔薬が選ばれる。
皮膚消毒
臍上〜大腿上部、側方は両前腋窩線まで。陰部も消毒範囲に含まれることが多い。
必要物品・器械
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基本セット
- 小開腹セット(開腹移行に備えて待機)
- メス・剪刀・鑷子・持針器
特殊器械
- 気腹装置、トロッカー(12mm×1、5mm×2)
- 腹腔鏡・カメラヘッド・光源ケーブル
- 把持鉗子・剥離鉗子・腹腔鏡用剪刀
- タッカー(メッシュ固定具)または縫合用持針器
- 電気メス
ディスポーザブル製品
- メッシュ(サイズ・種類を術者と事前確認、両側なら2枚)
- タッカー、吸収性固定材
- 腹膜閉鎖用の吸収糸またはバーブ付き縫合糸
- 局所麻酔薬(創部浸潤麻酔)、皮膚接合用テープ
器械出し看護師のポイント
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- メッシュは術者が展開しやすいよう、丸めた状態でトロッカーから入れられる形にして渡す。事前に折り方を確認しておく。
- メッシュは開封したら戻せない。サイズと種類を術者に口頭確認してから開ける。
- 剥離操作中は「精管・精巣血管を傷つけない」ことが最重要。術者が慎重になる場面では余計な会話を控える。
- タッカーは打つ方向によって神経損傷を起こす部位がある。術者の手を止めないよう、装填済みで渡す。
- 腹膜閉鎖ではバーブ付き縫合糸を使うことが多い。糸が絡みやすいので、必要な長さに整えてから渡す。
- 両側同時の場合は左右で使う器械・メッシュが増える。左右の記録を分けて残す。
外回り看護師のポイント
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- 日帰り・短期入院が多く、術後の回復が早い分、術中の低体温と悪心予防が重要。加温と制吐薬の準備を確認する。
- 膀胱が張っていると視野が悪く損傷リスクが上がる。導尿の有無と術前排尿の時刻を確認する。
- 頭低位のため、固定具の位置・肩の圧迫・眼球の保護をドレーピング前に確認する。
- メッシュは体内に残る医療材料。製品名・サイズ・ロット番号を確実に記録する(両側なら2枚分)。
- 予測される合併症:漿液腫(セローマ)、慢性疼痛、精巣痛、まれに腸管・膀胱損傷。
- 術後は早期離床・早期退院となるため、疼痛の程度と排尿の有無を申し送る。
緊急時の対応
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- 大血管(外腸骨動静脈)損傷は極めて危険。出血が始まったら直ちに応援・輸血・開腹セットを同時に動かす。
- 腸管・膀胱損傷が判明したら、修復用の縫合糸と洗浄用生食を追加し、必要なら該当科へのコンサルトを手配する。
- 気腹による皮下気腫が広範囲に及ぶ場合は、気腹圧の確認を声かけし、抜管後の気道の観察を強化する。
- 急変時の役割分担:外回りは記録と応援要請、器械出しは術野を離れない。この線引きを最初に決めておく。
確認先・参考資料6
このページの本文は特定の文献を書き写したものではないため、文ごとの一次出典はありません。下記は記述が正しいかを確かめるための公的資料です。実際の手順は必ず自施設の手順書と指導者の指示を優先してください。
- 手術医療の実践ガイドライン日本手術医学会手術室の運用、清潔操作、手術体位、器械・機器の取り扱い、医療安全
- 指針・ガイドライン(安全な麻酔のためのモニター指針・気道管理ガイドラインなど)日本麻酔科学会麻酔方法、術中モニタリング、気道管理、筋弛緩モニタリング
- 手術看護業務基準ほか学会刊行物日本手術看護学会器械出し・外回りの業務基準、体位固定、器械カウント、申し送り
- 消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン日本外科感染症学会皮膚消毒、予防的抗菌薬の投与と追加、手術部位感染(SSI)の予防
- 褥瘡予防・管理ガイドライン日本褥瘡学会術中の体圧分散・除圧、褥瘡と皮膚障害の予防
- Mindsガイドラインライブラリ日本医療機能評価機構各診療科の診療ガイドラインの横断検索(学会公式版の所在確認)
リンクは2026年8月4日時点で実在を確認したものです。