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外科肝胆膵・脾

Lap-C

腹腔鏡下胆嚢摘出術

胆石症・胆嚢炎に対して、お腹に4か所前後の小さな穴(ポート)を開け、CO2で気腹して視野を作り、胆嚢を摘出する手術。所要時間は1〜2時間程度。癒着や炎症が強い場合は開腹手術に移行することがあるため、開腹セットを常に室内に待機させておく。

ここは要注意!

  • EtCO2が急に下がったら「機械の不具合かな」で様子を見ない。CO2塞栓を最初に疑う。
  • 電気メスのフックは使用直後も高温。術野やドレープの上に置くと熱傷・発火につながる。
  • クリップは小さく、落ちても音がしない。使用本数を声に出して数える。
  • 開腹移行は突然決まる。開腹セットの場所を「たぶんあそこ」ではなく、術前に実物で確認しておく。

体位・麻酔・皮膚消毒

体位

仰臥位・両上肢体側固定。術中に頭高位+左側臥位へ体位変換するため、体幹固定と足台(フットボード)を確実に。ずり落ち防止の固定が甘いと変換時に危険。

麻酔

全身麻酔(気管挿管)。気腹によりEtCO2・気道内圧が上昇するため、麻酔科と数値の変動を共有する。

皮膚消毒

前胸部(乳頭ライン)〜恥骨結合上縁、側方は両前腋窩線まで。臍部は汚れが溜まりやすいため、消毒前に綿棒などで清拭しておく。

必要物品・器械

基本セット

  • 開腹基本セット(開腹移行に備えて未開封のまま室内待機)
  • メス・剪刀・鑷子・コッヘル・ペアン・持針器
  • 鉤(開腹移行時用)

特殊器械

  • 気腹装置+気腹針(ベレス針)、CO2ボンベ残量の確認
  • トロッカー(12mm×1、5mm×3が一般的)
  • 腹腔鏡(30度斜視鏡が多い)・カメラヘッド・光源ケーブル
  • 把持鉗子・剥離鉗子・腹腔鏡用剪刀
  • 電気メス(フック型)、必要に応じて超音波凝固切開装置
  • クリップアプライヤー
  • 術中胆道造影を行う場合:造影用カニューレ、Cアーム

ディスポーザブル製品

  • ディスポトロッカー、クリップ
  • 標本回収バッグ
  • 洗浄用生理食塩水(温生食)、防曇剤
  • 局所麻酔薬(ポート創の浸潤麻酔用)
  • ドレーン(ウィンスロー孔留置の場合)
  • 皮下縫合糸・皮膚接合用テープ

器械出し看護師のポイント

  1. 気腹〜ポート挿入は一連の流れ。「ベレス針 → 気腹チューブ → トロッカー」と先読みして順に手渡す。

  2. カメラ・ライトガイドは接続部を不潔にしやすい。清潔野で確実に保持し、曇り止め(温生食・防曇剤)をすぐ出せる位置に置く。

  3. 術者は画面から目を離せない。鉗子は術者の手元にグリップ側から確実に当てて渡す(見なくても掴める渡し方)。

  4. Calot三角(胆嚢管・胆嚢動脈)の剥離〜クリッピングが最大の山場。クリップアプライヤーはクリップを装填した状態で即座に渡せるよう準備しておく。

  5. 電気メスのフックは使用後の先端が高温。術野に置かず必ずホルスターに戻す(ドレープの熱傷・発火予防)。

  6. 胆嚢は標本回収バッグに入れて摘出。摘出後は結石の有無・数・性状を術者と一緒に確認し、検体はその場でラベリングする。

  7. 閉創前にガーゼ・針・クリップのカウントを外回りとダブルチェック。小さなクリップの落下に特に注意。

外回り看護師のポイント

  1. 気腹による生理的変化を理解しておく:CO2吸収でEtCO2・PaCO2が上昇、横隔膜挙上で気道内圧が上昇、腹腔内圧上昇で静脈還流が低下する。

  2. 頭高位・左側臥位への体位変換時は必ず全員に声をかけ、同時に実施。固定具の緩み、四肢の落下、点滴ライン・回路の引っ張りを確認する。

  3. 神経・皮膚障害の予防:上肢の過外転を避ける(腕神経叢損傷)、仙骨部・踵部を除圧、体位変換の「後」にもう一度除圧状態を確認する。

  4. 対極板は乾いた筋肉質の部位に密着させて貼付。剥がれがないか術中に確認し、退室時は必ず貼付部の皮膚を観察して記録する。

  5. 体温管理:気腹ガスと洗浄液で体温が下がりやすい。温風式加温装置・輸液加温を準備し、深部体温を継続モニタリングする。

  6. 出血量のカウント:吸引ボトルの総量から使用した洗浄生食量を差し引き、さらにガーゼの重量を加算して算出する。

  7. 術中胆道造影時はX線防護具を着用し、造影剤アレルギーの既往を事前に確認しておく。

緊急時の対応

  1. 大量出血:吸引を2本体制にし、開腹セットをすぐ開けられる位置へ移動。応援と輸血の手配を同時に始める。

  2. CO2塞栓(EtCO2の急低下+血圧低下+SpO2低下):気腹の中止を声で伝え、左側臥位・頭低位への体位変換に備える。

  3. 胆管損傷が疑われたら:術中胆道造影や術式変更に備え、造影剤とCアームを先回りで手配する。

  4. 第一声は「◯◯が起きています、応援お願いします」。何が起きたかを短く共有してから動く。

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今日もおつかれさま。ひとつ覚えたら、明日はもう少しラクになります。