腹壁瘢痕ヘルニア修復術
瘢痕ヘルニア
過去の手術の傷が弱くなって腸が飛び出す腹壁瘢痕ヘルニアに対して、癒着を剥がしてメッシュで腹壁を補強する手術。所要時間は2〜4時間程度。前回手術の癒着剥離に時間がかかり、腸管損傷のリスクが高い。
ここは要注意
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- メッシュの裏表を間違えると腸管と癒着し、再手術になる。向きの確認を必ず行う。
- 腸管損傷が起きるとメッシュの使用を断念することがある。術式変更を想定しておく。
- 剥離操作が長く、器械が消耗する。切れ味の落ちた剪刀を使い続けない。
- メッシュ感染は治療が長期化する。清潔操作をとくに厳格に。
体位・麻酔・皮膚消毒
体位
仰臥位。ヘルニアの位置により両上肢を体側固定にする。長時間になるため除圧を確実に。
麻酔
全身麻酔(気管挿管)。腹腔内圧が変化するため呼吸管理に注意する。
皮膚消毒
前回の創部を含めて広範囲に。瘢痕部は汚れが溜まりやすいため丁寧に消毒する。
必要物品・器械
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基本セット
- 開腹基本セット
- 癒着剥離用の細い剪刀・剥離子、腸鉗子
- 自動開創器、持針器
特殊器械
- 腹腔鏡下で行う場合は気腹装置・トロッカー・腹腔鏡一式
- メッシュ(大きさ・種類を術者と確認)
- メッシュ固定用のタッカーまたは経腹壁縫合用の糸通し器
- 電気メス、超音波凝固切開装置
ディスポーザブル製品
- メッシュ(腹腔内留置用は癒着防止コーティング付きを使う)
- タッカー、経腹壁縫合糸
- ドレーン(漿液腫予防のため留置することが多い)
- 洗浄用温生食、腹帯
器械出し看護師のポイント
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- 癒着剥離が手術時間の大半を占める。細い剪刀と剥離子を切らさず、切れ味の良いものを維持する。
- 腸管損傷は最も起きやすい合併症。腸を扱う鉗子は鈍的なものを選ぶ。
- メッシュは大きさと種類(腹腔内用か腹壁内用か)が重要。開封前に必ず術者と確認する。
- 腹腔内に置くメッシュは癒着防止面の裏表がある。向きを間違えると腸管と癒着する。必ず確認する。
- 腸管損傷が起きた場合、メッシュを入れられなくなることがある。術式変更に備える。
- 経腹壁縫合では糸を体外から通す操作がある。糸を絡ませず、順番に渡す。
外回り看護師のポイント
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- 前回手術の記録(術式・創部・使用メッシュ)を事前に確認しておく。剥離の難易度に直結する。
- 手術時間が読みにくい。長時間になる前提で除圧・保温・抗菌薬の追加投与を計画する。
- 大きなヘルニアを戻すと腹腔内圧が上がり、換気に影響することがある。麻酔科と共有する。
- メッシュの製品名・サイズ・ロット番号を確実に記録する。
- 術後は腹帯で圧迫することが多い。サイズを準備しておく。
- 予測される合併症:漿液腫(セローマ)、創感染、メッシュ感染、腸管損傷、再発。
緊急時の対応
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- 腸管損傷:洗浄用生食と修復用縫合糸を追加し、汚染範囲に応じてメッシュ使用の可否を術者が判断する。準備を切り替える。
- 剥離中の出血では吸引と止血材を追加し、視野の確保を優先する。
- 腹腔内圧上昇による換気困難が生じたら麻酔科へ即報告し、閉腹方法の変更に備える。
- 腸管内容による広範囲汚染では、ドレーンと洗浄物品を大幅に追加して手配する。
確認先・参考資料6
このページの本文は特定の文献を書き写したものではないため、文ごとの一次出典はありません。下記は記述が正しいかを確かめるための公的資料です。実際の手順は必ず自施設の手順書と指導者の指示を優先してください。
- 手術医療の実践ガイドライン日本手術医学会手術室の運用、清潔操作、手術体位、器械・機器の取り扱い、医療安全
- 指針・ガイドライン(安全な麻酔のためのモニター指針・気道管理ガイドラインなど)日本麻酔科学会麻酔方法、術中モニタリング、気道管理、筋弛緩モニタリング
- 手術看護業務基準ほか学会刊行物日本手術看護学会器械出し・外回りの業務基準、体位固定、器械カウント、申し送り
- 消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン日本外科感染症学会皮膚消毒、予防的抗菌薬の投与と追加、手術部位感染(SSI)の予防
- 褥瘡予防・管理ガイドライン日本褥瘡学会術中の体圧分散・除圧、褥瘡と皮膚障害の予防
- Mindsガイドラインライブラリ日本医療機能評価機構各診療科の診療ガイドラインの横断検索(学会公式版の所在確認)
リンクは2026年8月4日時点で実在を確認したものです。