膵頭十二指腸切除術
PD
膵頭部癌や胆管癌などに対して、膵頭部・十二指腸・胆管・胆嚢をまとめて切除し、膵臓・胆管・消化管の3か所を再建する手術。所要時間は6〜10時間と消化器外科で最も長い手術のひとつ。出血と再建の難しさから、看護師の段取りと持久力が問われる。
ここは要注意
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- 膵液瘻から仮性動脈瘤ができ、術後数日〜数週で突然の大量出血を起こすことがある。ドレーン排液の色の変化を軽視しない。
- 超長時間手術では術者もスタッフも疲弊する。交代とカウントの引き継ぎを形骸化させない。
- ドレーンの本数と位置を取り違えると術後の評価ができない。記録を正確に。
- 極細針の紛失は再開腹につながる。1本ずつのカウントを省略しない。
体位・麻酔・皮膚消毒
体位
仰臥位。上腹部を大きく開くため肋弓引き上げ用の開創器を使用する。超長時間手術のため、体位固定時の除圧を徹底する。
麻酔
全身麻酔+硬膜外麻酔の併用が多い。動脈ライン・中心静脈カテーテルを留置し、長時間の循環・体温管理を行う。
皮膚消毒
乳頭ライン〜恥骨、側方は両腋窩線まで。
必要物品・器械
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基本セット
- 開腹基本セット
- 肋弓引き上げ用の開創器(ケント鉤など)
- 長い鉗子・鑷子・持針器
特殊器械
- 血管用マイクロ器械、血管遮断鉗子(門脈合併切除に備える)
- 超音波凝固切開装置、ベッセルシーリングシステム
- 術中超音波プローブと滅菌カバー
- 膵管チューブ・胆管チューブ(再建部に留置)
- 自動縫合器+カートリッジ
ディスポーザブル製品
- 極細の縫合糸(膵管空腸吻合用の5-0〜6-0)
- 膵管ステント、胆管ドレーン
- ドレーン(膵空腸吻合部・胆管空腸吻合部の近傍に複数)
- 止血材、フィブリン糊、洗浄用温生食
- 輸血に備えた太いルート、セルセーバー回路
器械出し看護師のポイント
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- 6〜10時間の超長時間手術。器械台の秩序を保つことが後半の安全を決める。交代時は配置とカウントを口頭で確実に引き継ぐ。
- 工程は「切除 → 膵空腸吻合 → 胆管空腸吻合 → 胃空腸吻合」。今どの再建をしているかを把握して先読みする。
- 膵管空腸吻合は極細の糸を使う最難関の場面。針を1本ずつカウントし、術者が集中できるよう静かに渡す。
- 膵臓周囲は大血管(門脈・上腸間膜動脈)に囲まれる。血管遮断鉗子と血管縫合糸を常に手元へ。
- ドレーンは複数本を決まった位置に置く。本数と留置部位を術者と確認して記録に残す。
- 検体は病理診断と切除断端の評価に直結する。方向を術者と確認して提出する。
外回り看護師のポイント
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- 超長時間手術。体位固定後の除圧確認だけで終わらせず、術中も定期的に圧迫部位を評価し記録する。
- 出血量が読みにくい。輸血の準備状況(血液型・クロスマッチ・在庫)を入室前に必ず確認する。
- 抗菌薬の追加投与(3時間ごとが目安)を管理し、投与時刻を記録する。
- 体温低下しやすい。加温装置と輸液加温を早期から使用し、深部体温を継続記録する。
- 術後は膵液瘻が最大の合併症。ドレーン排液の色(ワインレッド様)とアミラーゼ測定の指示を病棟へ申し送る。
- 予測される合併症:膵液瘻、腹腔内出血(仮性動脈瘤破裂)、胆汁漏、胃内容排出遅延、感染。
緊急時の対応
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- 門脈・上腸間膜静脈からの出血:直ちに血管遮断鉗子と血管縫合糸を渡し、吸引を追加。輸血を最優先で手配する。
- 大量出血時はセルセーバーの回収と輸血の追加払い出しを同時に進め、麻酔科へ数字で報告する。
- 血管合併切除に移行する場合は、人工血管や自家静脈グラフトの準備を速やかに手配する。
- 低体温と凝固障害が進んだら、加温を最大にし、新鮮凍結血漿・血小板の準備を確認する。
確認先・参考資料6
このページの本文は特定の文献を書き写したものではないため、文ごとの一次出典はありません。下記は記述が正しいかを確かめるための公的資料です。実際の手順は必ず自施設の手順書と指導者の指示を優先してください。
- 手術医療の実践ガイドライン日本手術医学会手術室の運用、清潔操作、手術体位、器械・機器の取り扱い、医療安全
- 指針・ガイドライン(安全な麻酔のためのモニター指針・気道管理ガイドラインなど)日本麻酔科学会麻酔方法、術中モニタリング、気道管理、筋弛緩モニタリング
- 手術看護業務基準ほか学会刊行物日本手術看護学会器械出し・外回りの業務基準、体位固定、器械カウント、申し送り
- 消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン日本外科感染症学会皮膚消毒、予防的抗菌薬の投与と追加、手術部位感染(SSI)の予防
- 褥瘡予防・管理ガイドライン日本褥瘡学会術中の体圧分散・除圧、褥瘡と皮膚障害の予防
- Mindsガイドラインライブラリ日本医療機能評価機構各診療科の診療ガイドラインの横断検索(学会公式版の所在確認)
リンクは2026年8月4日時点で実在を確認したものです。