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整形外科人工関節

THA

人工股関節全置換術

変形性股関節症や大腿骨頭壊死などに対して、傷んだ骨頭と臼蓋を人工関節(ステム・ボールヘッド・カップ・ライナー)に置き換える手術。所要時間は1.5〜2.5時間程度。出血量が多く、感染すると人工物の抜去に至るため、感染対策とインプラント管理が最重要。

ここは要注意!

  • トライアルを本製品と間違えて体内に入れることは絶対に避ける。置き場所を物理的に分ける。
  • 骨セメント注入直後の血圧低下は「よくあること」ではない。必ず声に出して共有する。
  • 側臥位で覆ってしまうと直せない。耳介・眼球・外陰部の確認はドレーピング前が最後のチャンス。
  • 感染すると人工関節の抜去になる。扉の開閉、不要な入室、器械台の露出をゼロに近づける意識を持つ。

体位・麻酔・皮膚消毒

体位

後方アプローチでは側臥位(患側が上)。前方系アプローチでは仰臥位。骨盤の固定が傾くとカップの設置角度がずれるため、支持器の位置は術者と一緒に確認する。

麻酔

全身麻酔、または脊椎麻酔(+術後鎮痛目的の神経ブロック併用)。骨セメント使用時は血圧低下に備える。

皮膚消毒

患側の腸骨稜〜足関節まで、下肢全周を消毒。術中に下肢を大きく動かすため、ストッキネットで下肢をフリーに保てるドレーピングを行う。

必要物品・器械

基本セット

  • 整形外科基本セット
  • 骨膜剥離子・コブ・ラスパトリウム・骨鋭匙
  • ホーマン鉤(大・小)、自在鉤
  • メス・剪刀・鑷子・持針器

特殊器械

  • インプラント一式(カップ、ライナー、ステム、ボールヘッド)とサイズ違いの在庫
  • トライアル(試用)インプラント一式
  • 専用インスツルメント(臼蓋リーマー、大腿骨ラスプ、インパクター、オフセットガイド)
  • 電動骨手術器械(ボーンソー、リーマードライバー)とバッテリー予備
  • パルス洗浄器
  • 骨セメント+真空混和装置(セメント使用時)

ディスポーザブル製品

  • 吸引管2本(出血量が多いため)
  • ボーンワックス、局所止血材
  • 洗浄用生食(大量に)
  • 防水ドレープ、ストッキネット
  • ドレーン
  • フェイスシールド(骨片・体液の飛散対策)

器械出し看護師のポイント

  1. インプラントは「サイズが確定するまで開封しない」が鉄則。術者が口頭で確定してから開封し、ラベル(ロット番号)は外回りに渡す。

  2. トライアルと本製品の取り違えは重大事故。器械台の上で置き場所を完全に分け、混在させない。

  3. 進行順を覚えると先読みできる:展開 → 脱臼 → 骨頭切除 → 臼蓋リーミング → カップ設置 → 大腿骨ラスピング → ステム設置 → 整復。

  4. リーマー・ラスプはサイズを昇順に並べ、番号を声に出しながら渡す(術者は術野から目を離せない)。

  5. 電動器械は使用直後に骨片・組織を除去する。付着したままだと切れ味が落ち、骨の熱損傷につながる。

  6. 骨セメントは混和開始から硬化まで時間との勝負。開始の合図を術者と合わせ、経過時間を計測して声で伝える。

  7. 切除した骨頭は移植や病理に使うことがある。廃棄する前に必ず術者に確認する。

  8. 感染に最も厳しい手術のひとつ。器械台を無駄に開けたままにしない、人の出入りを最小限にする。

外回り看護師のポイント

  1. 側臥位の固定が最重要。骨盤支持器の位置(恥骨結合側・仙骨側)、下側の腋窩枕(腕神経叢の圧迫予防)、下側下肢の腓骨頭の除圧(腓骨神経麻痺予防)を必ず確認する。

  2. 固定完了後、ドレーピング前に耳介・眼球・外陰部・上肢の位置を全身くまなく最終確認する(覆ってしまうと直せない)。

  3. 出血量が多い術式。吸引ボトルとガーゼ重量で正確にカウントし、術前Hb値と輸血の準備状況を把握しておく。

  4. 骨セメント使用時は注入直後の血圧低下(骨セメント埋入症候群)に警戒。注入のタイミングを麻酔科に声で伝える。

  5. 深部静脈血栓症・肺塞栓のハイリスク。弾性ストッキングと間欠的空気圧迫装置の装着・作動を確認する。

  6. 体温管理:露出面が広く洗浄量も多いため低体温になりやすい。加温装置・輸液加温を積極的に使用する。

  7. インプラントのサイズ・ロット番号・数量を確実に記録(トレーサビリティ)。診療材料の伝票処理も漏らさない。

  8. 術後脱臼予防のため外転枕を準備し、退室時の肢位(過屈曲・内転・内旋を避ける)を病棟に申し送る。

緊急時の対応

  1. 骨セメント埋入症候群(注入直後の血圧低下・SpO2低下・不整脈):直ちに麻酔科へ声かけし、急速輸液と昇圧薬の準備をする。

  2. 大量出血:吸引を追加し、ガーゼ重量から出血量を再計算して麻酔科へ数字で報告。輸血の払い出しを急ぐ。

  3. 術中骨折が起きたら、追加のプレート・ワイヤー・ケーブルシステムを手配する。透視の準備も想定する。

  4. 肺塞栓が疑われる急変(SpO2低下・EtCO2低下・血圧低下)では、蘇生の準備と救急カートの搬入を最優先で行う。

確認先・参考資料

このページの本文は特定の文献を書き写したものではないため、文ごとの一次出典はありません。下記は記述が正しいかを確かめるための公的資料です。実際の手順は必ず自施設の手順書と指導者の指示を優先してください。

リンクは2026年8月4日時点で実在を確認したものです。

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今日もおつかれさま。ひとつ覚えたら、明日はもう少しラクになります。